二百枚目の紙
書類箱に収まらなくなった村の記録を、エダが床へ広げた。井戸、食料、道、会議、家畜、取引。初めは一枚の麦の表だったのに、今では種類も多い。ベルクは棚を増やそうと言ったが、誰も読まない紙を積むだけでは意味がないとエダは反論した。
ミラは捨ててよい記録と残す記録を分けようとした。だが去年の冬に使わなかった書類が今年必要になることもある。川筋が変わった古い地図はその例だった。ギルは修理の年月だけでも役立つと言い、ニーナは病人の名前を誰でも見られる棚へ置かないよう求めた。
古い記録のうち、誤りを訂正した紙には赤い線が引かれていた。誰かが消してしまおうとしたが、エダは失敗の痕跡も残したいと言った。どこで計算が変わったか分からなくなれば、同じ間違いを次の人が繰り返す。訂正前と後の数字を並べ、いつ確かめたか記す方法を皆で練習した。紙が多い理由の一つは、急いで捨てなかった記憶だった。
村人を交えた整理の日、ルークは危険な道の絵をまとめた。文字が苦手な人は絵札を読み、数字に強い人は銅貨の計算を見た。エダは何をどこへ置いたか分かる目録を作ったが、管理を自分一人へ戻さないためベルクにも読み方を教えた。紙の山は少し低くなった。
棚には鍵を付ける箱も用意したが、その鍵を持つ人を一人だけにはしなかった。
その夜、ミラは最初の備蓄表を手に取った。湿った麦袋に印を付けただけの紙は、今ほど整っていない。それでも村の誰かが明日の食事を数えようとした証だった。ミラは新しい箱へ丁寧に収め、次の人が見つけられる位置に置いた。記録が増えたことより、それを受け取る人が増えたことが嬉しかった。




