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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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市場の帰り道

郡の市場へ出たリネが、帰りの集合時刻になっても姿を見せなかった。同行したレアは店を探し回りかけたが、フェルンは合流する場所を動かすと互いにすれ違うと止めた。ミラも市場へ来ており、人の流れに押されるリネの姿を探した。昔の契約を知る者に会ったのではないかとティアが青ざめた。


リネはほどなく、薬草商の軒下から現れた。指の荒れを相談していたため、予定より遅れたのだという。許可なくいなくなったことを謝ったが、ティアは何度も理由を問い詰めた。ミラは二人を市場の喧騒から離し、まず帰りの道が安全なうちに村へ戻る相談をした。


市場には見慣れない路地が多く、合流場所に決めた噴水は午後になると布商の屋台に隠れた。フェルンは次回から目立つ建物だけに頼らず、屋台が並び替わっても分かる目印を二つ選ぼうと話した。リネはそれなら道が分からなくなった時、戻れる場所を決めておけると答えた。


レアは働く仲間同士で、離れる時には行き先を伝える約束をしようと言った。ただし買い物や相談の内容を全て話す必要はない。リネはそれなら守れると答えた。ティアは妹を心配するあまり、約束を増やしすぎた自分に気づいた。


帰る途中、ティアは妹の歩調へ合わせ、先を急かさなかった。雪はまだ道の端に残っていた。


荷車が峠へ入る頃、リネは新しく買った針入れを取り出した。自分の賃金で初めて選んだ道具だった。ティアはしばらく黙り、柄の花模様を褒めた。ミラは安堵しつつ、見失った時の連絡方法をエダと相談することにした。戻ってきたから何事もなかった、ではなく、次には恐怖を少し減らせるように。

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