税のための種
ベルクは繰り延べになった税を春の売上で返せるか試算した。紙の上では数字が合う。しかしそれは麦が昨年と同じだけ実り、橋を使えない運搬費も上がらない場合だった。エダは楽観的な数字を一つずつ丸で囲んだ。村会議の席に緊張が広がった。
ハロルドは種を多く蒔けばよいという意見へ首を振った。土が湿りすぎる区画では増やしても育たず、働き手にも限りがある。フェルンは高値で売れる作物を勧めたが、村の食卓から全部を外すつもりはなかった。ミラは余剰が出た時の計画と、不作だった時に守る順番を別々に考えようと言った。
予測表には昨年の雨の多かった日も書き込まれた。しかし同じ雨が今年も降るとは限らない。ハロルドは乾燥した年の畑の姿も覚えており、二つの記憶から備えを考えた。ミラはどちらの数字にも名前を付け、豊作だけを標準としないよう頼んだ。税のための計算が、畑で働く者の現実から離れてはいけなかった。
ベルクは郡都へ早めに見通しを知らせることにした。悪い知らせを出せば徴収を厳しくされるかもしれない。それでも期限当日になって支払えないと知れる方が村の信用を損なう。ユストには実際の記録と、まだ確定していない予測を明確に分けて送った。
紙の角には、作業した者が説明できる数字だけを残した。推測を事実に変えないためだった。
夜、エダは計算用の石を布に包んだ。昨日より増えたものは何もない。だが種を売らずに残すと決められたことで、春の選択肢は消えずに済んだ。ミラは白紙の収穫欄を見つめ、そこへ都合のよい数字を書き込まなかった。村を守る計画には、確かなことより分からないことが多かった。




