母の仕事着
村へ戻った若い母親が、働きたいと申し出た。幼い子を預けられず、短い時間だけ畑の仕分けをしたいという。ハロルドは人手を喜んだが、子どもを冷たい倉庫へ連れてこられては困る。母親は背に負えば問題ないと主張し、話は進まなかった。
ミラは母親だけでなく、隣家で時折子を見ている老婆へ話を聞いた。老婆には足の痛い日があり、毎日預かる約束はできない。サラは調理場の手伝いなら子を近くへ置けると考えたが、火のそばで遊ばせることはできなかった。安全な部屋と人手が整う曜日だけ、短時間の作業から試すことになった。
子を預かる部屋の戸には、外から見える小窓がなかった。様子を知りたくて何度も仕事を中断する母親を、誰も責めなかった。ギルは戸を外して布の仕切りに替えようとしたが、寒さが入る。サラが少し離れた位置へ寝床を置き、声の届く範囲で様子を見られるようにした。大きな設備がなくても、今日の一時間を守る方法はあった。
母親は賃金が少ないと不安を口にした。必要なのは衣服を買う銅貨だという。レアは繕いなら家でできると勧めたが、針仕事を教える時間も要る。母親は手先より力仕事が得意だった。それを聞いたニコが、家畜の飼料袋の印付けを頼めないかと言った。危険な作業を外せば、時間を選びやすい。
初日の終わり、母親は自分の仕事着を畳んで膝に置いた。子どもは隣室で眠っていたが、明日も同じようにできるとは限らない。ミラは勤務の約束を長く取り過ぎず、一週間後に一緒に考え直そうと伝えた。働く人が母親であることも、母親が働く人であることも、どちらも失わせたくなかった。




