眠れない窓
リネの隣家では、夜中に何度も窓を叩く音がしていた。最初は風と思われたが、家の主が確かめると、軒の金具が外れかかっている。雪が積もれば屋根の端が傷むかもしれない。だが暗い中で梯子を掛けることは危険で、家族は音を聞きながら朝を待った。
夜明けにギルが来て、屋根の上へ上らずに済むか調べた。セランは地上から届く長柄の道具を作ろうとしたが、金具の形が合わない。結局、晴れた日を待って足場を組み、二人以上で直すことになった。数日は別の部屋で眠り、家の外を通る者へ落下物の注意を伝える。
金具が外れた原因には、雨の日に軒から流れる水も関わっていた。セランが地面の泥筋を見て、それに気づいた。屋根だけ直しても水が同じ場所へ集まれば木がまた傷む。ギルは樋を整え、流した水が隣家の通路を濡らさないようにした。家の主は、自分の屋根から落ちた水が他人の足元まで届くとは考えていなかった。
窓の音が止まっても、家の子は夜が怖くなっていた。ティアは怖がる理由を聞かずに励ますのでなく、寝る部屋を選ばせた。ニーナは睡眠が足りなくなっていないか家族に尋ねた。ミラは修理の日取りを書きながら、それまでの夜をどう過ごせるかも相談した。
子どもは翌朝、屋根の下で釘を探さなくてよいと教えられ、安心して庭の雪を踏んだ。
屋根を直した日、外れた金具の下には古い釘が幾本も落ちていた。子どもが拾いに行こうとするのを、ギルが止めた。釘を集める大人の手袋と容器を用意し、足元を最後まで調べる。夕方、子どもは新しい部屋ではなく自分の寝床へ戻った。静かになった窓の外で木の枝が揺れる。それは今夜、家を脅かす音ではなかった。




