板を切る前に
橋の柵の板が風で外れ、川へ落ちそうになった。ギルは釘を打ち直そうとしたが、古い支柱まで傷んでいる。オスカーは近寄る人を止め、迂回路に新しい杭を立てた。橋を渡れない不便さから、誰かが柵を動かしたのではないかという疑いが出た。
ベルクは村の若者に心当たりを尋ねたが、誰も名乗り出なかった。ミラは人探しより先に、風で外れた可能性を調べるよう提案した。セランが残った釘穴を見れば木が腐り、何度も打ち直した跡がある。誰かの悪意を証明する材料はなかった。
修理に使う板を選ぶ時、ギルは木の節を指さした。表面が綺麗でも、力を掛けると割れやすい方向がある。青年は初めて節の向きを確かめ、棚板にも使えないものがあると知った。余った短い材は杭の支えに回したが、川へ落ちる位置には置かなかった。作業の後、道具を片付けた人数も記録に残した。
新しい板を切るには木材が要る。薪の山から使えば早いが、それは冬の熱を削ることになる。ギルは壊れた荷箱の板を利用できないか見た。十分な強さのある部分だけを選び、通行を止める低い柵を遠くへ立てた。橋脚を直したわけではないし、近づく道そのものを狭めただけだ。
川岸に近い家の者は、柵が遠くなったことで初めて通行止めの厳しさを実感した。けれど誰も戻そうとは言わなかった。
作業を終えた晩、見張りの青年が「こんな小さな柵で守れるのか」と尋ねた。ギルは柵に寄り掛かられれば壊れると答えた。ミラは看板に「渡れない理由」を短く添え、冬の間は定期的に確認することを決めた。板の数を増やすより、足を向ける理由を変える方が確かな時もある。川は遠くで氷を鳴らしていた。




