届かない薪
山裾で伐った薪の束が、雪で狭くなった曲がり角を抜けられず止まっていた。荷車の片輪が轍に落ち、引き上げようとした若者は肩を痛めかけた。ニコが山羊を連れて迂回できると申し出たが、家畜の通れる道にも凍った溝があった。ミラは荷車を動かす前に積荷を下ろすよう頼んだ。
薪を小分けにすれば人手は増える。しかも配達先の家では寝込んだ老人が待っている。ベルクは見張りを一人抜こうとしたが、オスカーは吹雪の予報がある日は夜番を薄くできないと反対した。小さな家々へ先に少量ずつ運び、元の荷車は日中に車輪を修理する段取りとなった。
山の薪は村人が自由に伐れるものばかりではない。共有の採薪地には春まで残す木もあり、倒木だからと持ち帰ってよいとも限らない。ベルクは薪の配達を急ぐ若者へ、その場所の取り決めをもう一度説明した。遅れた分を埋めるため森へ入れば、次の冬の薪まで減らしかねない。今ある束を使い切らず、家々の残りを先に調べた。
セランが轍を調べると、以前の雨で道端の土が流れ、雪が穴を隠していた。踏み固めるだけでは春の雨で再び崩れる。村の木材を使う補修案には、ギルが橋の柵用に取ってある板を使わないよう念を押した。ミラは坂と井戸と薪の道を並べて考えるが、どれにも同じ材料を回すことはできない。
夕方、薪を受け取った老人は、束の数より運んだ青年の濡れた袖を気にした。替えの布を渡し、明日からは玄関の横に薪を置けばよいと教える。家の中まで重い束を運ぶ必要はなかったのだ。青年は笑い、次の配達先でも置き場所を尋ねた。ミラは仕事を早くする知恵が、時には受け取る人の一言から生まれると知った。




