氷点下の灯
寒い夜、見張り台の灯が一つ消えた。オスカーは風で消えただけだろうと考えたが、交代の合図がないままだった。決めておいた手順に従い、二人で安全な道から確認に向かった。
見張りの青年は指がかじかみ、火打ち石を扱えなくなっていた。怪我はないが、寒さで言葉が少なくなっている。オスカーは青年を家へ戻し、温かい場所で休ませた。ミラは見張り台に残る時間が長すぎなかったか調べた。
当番表では短い交代のはずだったが、次の人の家で病人が出ていた。連絡が遅れた分を青年が一人で埋めていたらしい。責めるべき人はいない。代わりを頼む先と、誰も来ない時に引き返してよい条件を改めて確かめた。
セランは灯を風から守る覆いを直した。オスカーは温かい飲み物を持ち込める場所を作ろうとしたが、火事の心配があるため、火を使わない方法を選んだ。翌夜からは交代時に手足の様子を互いに聞くことになった。
青年の家では、家族が彼の帰宅を待っていた。暖炉のそばへ座ると、遅くまで残った理由を小さな声で話した。交代相手に迷惑を掛けたくなかったのだという。オスカーは仕事を投げ出したのではなく、助けを呼ぶのも仕事の一部だと説明した。翌日、当番表には家族の急病で代われない場合の連絡先が追加された。ミラは無理をした青年を褒めて終わりにせず、同じ夜を繰り返さない方法を考えた。青年は翌朝、見張り台に置いた自分の上着を取りに行った。オスカーは寒い日ほど忘れ物が危険になると教えた。
朝、消えた灯の芯が交換された。見張りの仕事を続けるには、見張る人が無事に帰る仕組みも要る。ミラは何も起きなかった夜ほど、その理由を確かめたいと思った。




