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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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橋脚の見積書

橋を調べる専門の石工から見積書が届いた。費用は村が予想した額よりずっと高かった。工事そのものだけでなく、川底の確認や安全な作業場の設置が必要だという。ベルクは紙を持ったまま、しばらく言葉を失った。


セランは安く済ませる方法を探したが、バルドが危険な部分を削れば作業する人が川へ落ちると指摘した。ミラは最初に橋を使えるようにすることより、今どの部分が崩れそうかを知る調査だけ頼めないか考えた。


石工は調査だけでも費用がかかると答えた。ただ、調べた結果によって橋を架け直すか、別の場所へ移すか判断できるかもしれない。村人は古い橋へ愛着を持っていたが、場所が安全とは限らなかった。


会議では、井戸と山道の修理を優先したい人も多かった。ミラは橋の不便さを軽く扱わず、それでも今の財源では全部を実現できないと認めた。ベルクは調査のための費用を郡へ申請し直すことにした。


石工の見積もりには、橋を閉じたままにする間の見張り費用も書かれていた。ベルクは工事が始まっていないのに金が掛かるのかと驚く。だが人を危ない場所へ入れないための柵や巡回は、誰かが担わなければならない。ミラは見積もりから削る項目と削れない項目を分け、村人に説明した。橋を架ける話になると完成後の姿ばかり考えていたが、工事の日々も村の暮らしの一部だと分かった。見積書の欄外には増水時の作業中止が明記されていた。ミラはその一行に印を付け、費用より先に安全の条件を読んだ。


暮れた川に橋脚の影が落ちた。ミラは足元の草を踏まずに引き返した。橋の向こうへ行きたい気持ちは強くても、そこへ至る道を急いで壊したくはなかった。

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