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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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谷からの使者

谷の小村から三人が来た。ハルヴェの収穫と冬支度の話を聞き、村を丸ごと移したいと相談に来たのだ。ベルクは驚き、受け入れられる家も畑もないと答えた。三人は落胆したが、故郷では井戸が枯れ始めているという。


ミラはすぐ移住を勧めるのでなく、谷の状況を聞いた。井戸の水位、畑の位置、冬の食料、歩けない老人の数。ハルヴェにも水の余裕はなく、全員を迎えれば両村が困るかもしれない。


三人のうち年若い者は、ハルヴェの井戸の仕組みを真似ればよいと言った。ギルは修理した場所を見せたが、水源の深さまで同じではないと説明する。石を積む方法を学んでも、谷に水が湧くとは限らない。


ミラは安全に調査できる人を探し、郡へ相談する手紙を出す案を示した。谷からの使者たちは、自分の村でまず水の使い道を数えたいと言い、数日後に帰路へ就いた。ハルヴェからは記録用の紙と桶の補修法を渡した。


谷からの使者は、最初から村を捨てたいわけではなかった。老人たちが故郷の墓を離れたがらず、水さえ戻れば残りたいという。ミラはその話を聞き、移住を前提にした相談を止めた。まず現地の水の状況を知る人を探すべきだ。ギルは井戸を掘る作業の危険も伝え、経験のない者だけで深い穴へ入らないよう頼んだ。使者の一人は安心したように、帰ったら村の皆ともう一度話すと言った。使者たちは帰りの食料を多く欲しがらなかった。持ち帰る荷が重くなれば、峠の帰り道を越えられなくなるからだ。


夕暮れ、三人は村の鐘を振り返った。ミラは故郷へ戻る彼らを見送り、守りたい場所はここだけではないと感じた。それでも、引き受けられない約束をしないことから始めるしかなかった。

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