遅い麦刈り
秋の終わり、日陰の畑にまだ刈れていない麦が残った。ハロルドは霜が来る前に終わらせたいと焦ったが、地面は湿っていた。刈り手が滑り、鎌を振るう手がぶれる。ミラは一度仕事を止めるよう頼んだ。
ハロルドは収穫を捨てる気かと言い返した。ミラも残した麦が惜しいことを認め、刈れる区画と危ない区画を分けた。腰を痛めている人は刈り手から外し、乾いた端だけを短い時間で進める。
翌朝、霜は薄く降りた。穂の一部は傷み、早く刈っていれば助かったかもしれない。ハロルドは黙ってその分を量り、倉庫の食料と混ぜずに置いた。判断がいつも利益を生むわけではない。
しかし刈り手たちは怪我なく戻った。失った麦は帳面へ記し、来年は日陰の畑の作付けを変える案が出た。ミラは畑の性質を見直すことが大切で、働き手の根性で埋めることではないと考えた。
刈り残した畑を前に、ハロルドの妻は来春の食事が足りるか心配した。ミラは安心させるだけの数字を口にしなかった。倉庫の残量と家で保存しているものを確かめ、困る時期が来る前に相談しようと伝えた。失った麦を人の命と比べる議論は簡単ではない。刈り手も、収穫を減らしたことを悔やむ。サラは彼らへいつも通り食事を渡し、仕事を止めたことへの罰のように量を減らさなかった。刈り残しのある畑へ鳥が来たが、追い払う人手は残っていなかった。ハロルドは見守るだけにして家へ戻った。
夕方、短くなった畑に風が抜けた。ハロルドは麦の束を抱え、来年は少し場所を変えてみようと言った。ミラはその言葉を聞き、失敗を認められるなら次の秋には別の景色があると思った。




