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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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冷たい荷車

山道を下りてきた荷車から、壺が一つ転がり落ちた。中身は食用油で、地面へ広がり始めた。運び手は慌てて拾おうとしたが、滑る地面に足を取られた。オスカーはまず人を荷から離し、セランを呼んだ。


油の壺は木箱の端へ寄せて積まれていた。紐が緩み、曲がり角で揺れたらしい。セランは車輪の異常がないことを確認し、荷の間へ詰め物を入れる。失った油を惜しむ声もあったが、転んだ人が怪我をしなかったことを先に確かめた。


泥と油が混ざった場所は通行に危険なので、乾いた砂をまき、汚れた土を別へ集めた。子どもが触らないよう杭を立てる。ミラは油の持ち主が誰かを聞き、運び手だけに損を押しつけないよう契約を確認した。


商人は途中から別の荷を追加したと認めた。積み方を変えた責任は自分にもある。フェルンが双方の話を聞き、賠償を後日に決めることになった。道が悪いというだけで、すべての失敗を片付けるわけにはいかなかった。


油がこぼれた場所で、翌朝一人が足を滑らせかけた。砂をまいても雨で流れてしまったらしい。オスカーは通る人へ声を掛け、ギルが踏みやすい木板を置いた。汚れた土を畑へ流さないよう、集める場所も決める。商人は損失の計算を気にしていたが、まず危険を残さない仕事へ手を貸した。フェルンは破損した壺を持ち帰り、同じ材質の品が割れやすいか荷主に知らせると言った。壺を包んだ藁も油を吸っていた。サラはそれを炉へ入れないよう頼み、セランは運び手へ代わりの詰め物を渡した。


日が傾く頃、荷車は軽くなって動き出した。ミラは油の匂いが残る道を見つめ、村を守るには村の外で働く人の安全も無視できないと思った。

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