冬用の小窓
旅人が冬を越す予定の小屋で、窓から冷たい風が入っていた。ギルは板で塞ぐつもりだったが、そうすると昼でも暗くなり、火を使った時に煙が抜けない。小屋の住人は暖かくしてほしいと願いながら、窓を残したいと頼んだ。
セランは古い枠に透明度の低い薄板をはめる案を出した。高価な窓材は買えないので、開け閉めできる木戸と隙間を埋める布を組み合わせる。サラは火を焚く時に通気を確保するよう念を押した。
材料を集めると、板は倉庫にも足りなかった。橋から外した木は湿って傷んだものが多い。ギルは使える短い材だけを選び、窓の幅に合わせて継いだ。見た目は不揃いでも、すぐ外れる釘を残さない方が大切だった。
作業を見ていた旅人は、自分も木を削れると申し出た。以前は家具を作っていたという。ただし村の道具に慣れていないため、最初はセランと一緒に寸法を取った。小屋は直す人の仕事場にもなった。
旅人の小屋の床には古い隙間があり、夜には冷気が足元から上がる。窓だけ直しても寒さが消えないので、ギルは余った板を切って風の通る箇所へ当てた。だが床下に湿り気がたまらないよう、全部を塞がずに様子を見る。住人は毛布を借りる際、返せなくなるのが怖いと言った。サラは貸した日と傷みを最初に一緒に確かめ、無理に新品のまま返す約束をさせなかった。物を借りる不安にも形がある。旅人は窓の木戸を開け閉めするたび、軋む音に首を傾げた。ギルは寒い朝にも開くか確かめる約束をした。
夜、窓の隙間から星が一つ見えた。風は弱まったが、火を焚き続けてよいわけではない。ミラは住人へ具合を聞き、閉め方と開け方を紙へ書き残した。小さな窓にも、守るべき呼吸がある。




