水桶の薄氷
初めて水桶の縁に薄い氷が張った朝、井戸の周りが騒がしくなった。まだ冬の入口だが、濡れた石は滑りやすい。ニーナが一人を支えている間に、別の家の子どもが水をこぼしてしまった。
バルドが補修した部分は丈夫になっていたが、石段の上に溜まる水は以前のままだった。ギルは水を流す溝を広げようとし、サラは溝が凍ると別の場所が危ないと言った。ミラは朝の冷え込みが弱まるまで一部の通路を閉じた。
代わりに水を運ぶ組を作ったが、力のある者ばかりが担えば疲れる。小さな桶を二度運ぶ方がよい家もある。ニコは山羊の水も必要だと説明し、人用と家畜用の時間をずらすことになった。
午後、ギルとセランは排水の先を確かめ、凍っても人が踏み込まない場所へ少しずつ水を逃がした。次の寒い朝に試さなければ良し悪しは分からないため、作業後にも注意札を残した。
凍った桶の表面を割ろうとした子どもが、小石を投げ入れた。ニーナは驚いて止め、飲み水に汚れた石を入れないよう説明した。桶を温めるにも火を使いすぎれば薪が足りない。サラは前夜に室内へ置ける量を相談したが、家によって置き場の広さが違う。ミラは皆へ同じ方法を命じず、安全にできる家だけ試すことにした。朝の井戸端には、氷を避けて歩くための細かな足跡が残っていた。水汲みを助けた青年は手袋を濡らし、すぐ動きが鈍くなった。サラが乾かす場所を空け、次の組へ交代させた。
ミラは井戸の縁で指を温めた。井戸を修理するという言葉の中には、石を積む仕事も、水を汲む人の足を守る仕事も含まれている。冬の水は重さだけでなく、冷たさも連れてくる。




