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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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二つ目の鐘

村の鐘を鳴らす縄が湿気で伸び、夜番の合図が遅れた。オスカーは予備の縄を持ってきたが、長さが足りなかった。夜番の一人は交代を聞き損ね、予定より長く見張り台に残っていた。


ミラは音が鳴れば安心だと考えていた自分に気づいた。鐘そのものが壊れる日もあれば、聞こえない家もある。セランは短い板を叩く音を代わりにする案を出し、風向きの違う場所で確かめた。


しかし板の音は作業場の槌と似ていた。そこで夜番の交代には灯の位置と口頭の確認も合わせ、どれか一つに頼らないことにした。オスカーは当番表の横へ、見張り台に誰が実際にいるか書く欄を作った。


新しい縄を買う費用は小さかったが、付け替える時に高い場所へ上る必要がある。ギルは一人で作業せず、セランに梯子を押さえてもらった。鐘が鳴る仕組みは簡単でも、その下にはいくつもの人の手が要る。


見張り台の灯には風向きによる見えにくさもあった。遠い畑からはよく見えても、村の裏手では樹の枝に隠れる。オスカーは皆を暗い道へ連れ出さず、日暮れに安全な場所から確認させた。家々の位置を描いた紙に、灯の見える所と見えない所を印した。ミラは鐘の音と光を万能な合図として扱うのをやめ、最後には人が顔を合わせて交代を確かめると決めた。用具の改良だけで夜が安全になるわけではない。鐘の音が届きにくい場所では、見張りが家の戸を軽く叩いて交代を告げた。眠っている子を起こさない合図も考えた。


その晩、鐘が短く鳴ったあと見張り台の灯が一つ動いた。誰かが次の人へ仕事を渡した合図だった。ミラは音を聞き、村を守っているのは鐘ではなく、それを確かめる人たちなのだと感じた。

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