川辺の杭
橋の通行止めを知らせる杭が一本倒れていた。夜のうちに風で傾いたらしく、旅人が知らずに川へ向かった跡があった。オスカーは札を増やそうとしたが、闇の中では文字は読めない。
セランは道の手前に重い木柵を置き、迂回路の方向を描いた。荷車が引き返せる広さも必要だった。ミラは旅人になったつもりで丘から歩き、どこで橋の異変に気づけるか確かめた。
実際には道が緩く曲がる地点まで橋が見えず、初めて来る人はそこで慌てて止まる。フェルンは荷を積んだ車ならもっと早く判断したいと言い、上流の道標にも危険を示す絵を足した。
木柵の脇を子どもがすり抜けようとして、オスカーに止められた。柵を隙間なく作れば急な避難路を塞ぐ恐れもある。家から川へ通じる細道は別に示し、住民だけが使う時の決まりを考えた。
遠くから来た旅人は、新しい迂回路の絵を見て行き先を尋ねた。フェルンは峠の宿までの道を教え、今夜は足場が悪いので泊まるよう勧めた。旅人は荷の届け先へ急いでいたが、橋へ進んでも渡れないと分かった。木柵の重しに使った石は子どもが動かそうとしてもびくともしない重さだった。セランは次の増水で流されない場所へ移し、夜の見張りが点検する項目を一つ増やした。札を取り付けた木は根元が傷んでいたため、セランはそこから重しを外した。重さだけで固定すれば木まで倒れる。フェルンの荷車で実際に曲がれる幅を試すと、初めの柵は少し道へ張り出していた。ギルは木を削り直した。
暮れ方、見知らぬ旅人が木柵の前で立ち止まり、遠回りを選んだ。橋は相変わらず壊れている。ミラはその背を見送り、渡れない道を正しく伝えられたことを、小さな一日の成果として受け止めた。




