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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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引き継ぐ鍬

ハロルドが使っていた古い鍬の柄が割れた。次の仕事へ移ろうとしていた若者が、直してまで使う理由が分からないと言う。道具を取り替えれば済むと考えたのだ。しかし鍬の刃には長年の癖があり、替えの柄が合わなかった。


ギルは新しい柄を削ろうとしたが、ハロルドが持ち方を見せると形を変えた。握る位置の少し下を細くしないと、手首が痛むという。若者は道具の名前だけを覚えていても、使う人の体までは知らなかった。


修理中、ハロルドは畑の端の石の位置を教えた。去年の洪水で埋まった石は鍬を欠けさせる。ミラは地図へ印を付けたが、紙だけでなく実際に歩く日を設けることにした。仕事を引き継ぐとは、物を手渡すだけでは終わらない。


完成した鍬を若者が振ると、柄が長すぎた。ハロルドには合っても、自分には合わない。ギルは新しい柄をもう一本用意し、古い鍬は持ち主へ戻した。皆が同じ形で働く必要はなかった。


鍬を持って歩く若者は、刃を下に向けていたためハロルドに止められた。人とすれ違う時の向きも仕事の一部だという。ミラは道具を使う前に、倉庫から畑までどう運ぶかを教えてもらった。刈り取りの季節には鎌も増える。エダは道具の貸し出し欄に使い手の名前だけでなく、危険な破損があれば報告する場所を追加した。使い慣れた人が口にしない小さな決まりほど、初めての者には必要だった。新しい鍬の先は少し重く、若者は振るたび腰を曲げた。ハロルドが姿勢を直し、初日は短い畝だけを任せた。


夕方、若者は自分の鍬を持って畑へ行った。ハロルドは後ろから見守り、無理に口を挟まない。ミラは二つの柄が並ぶ様子を見て、受け継ぐものと変えてよいものの違いを感じた。

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