広場の声
収穫を祝う小さな集まりで、村の外から来た人が歌を披露した。はじめは笑顔で聞いていた村人も、夜番の交代が近づくと帰り始めた。歌い手は自分が嫌われたと思い込み、荷をまとめようとした。
ミラは事情を聞き、ここでは暗くなる前に鐘が鳴り、当番が交代することを説明した。歌い手は自分の村では夜が更けてから集まると言い、初めて習慣の違いに気づいた。明日の昼なら聞ける人が多いとサラが教えた。
翌日の広場には子どもと老人が集まった。歌い手は長い叙事詩を短くし、途中で言葉の意味を尋ねられると笑って答えた。ルークは遠い山の名を覚えきれず、代わりに節だけ口ずさんだ。
歌の礼に食事を渡すと、歌い手はお金を欲しがった。仕事として歌っているのだと言う。ベルクは最初の約束が曖昧だったことを詫び、次に呼ぶなら謝礼を決めておくと話した。楽しませてもらったことと、働いた対価を払うことは別ではない。
集まりが終わっても、広場の隅では歌の節を真似する子どもたちがいた。見知らぬ土地の言葉は難しく、聞き違えた意味で笑い合う。歌い手は訂正しながら、今度はハルヴェの昔歌を聞かせてほしいと頼んだ。ベルクは若い頃に母から習った節を思い出せず、オル婆が続きを歌った。皆は一瞬静かになり、すぐに拍手をした。ミラは収穫の量では測れないものも、村で確かに受け渡されていると知った。歌い手は宿の夜番にも礼を言った。騒ぎで遅く起きていた人へ、次の日の薪運びを少し手伝うと申し出た。
夕暮れ、広場には歌の一節が残った。ミラは誰かの声が増えるのを嬉しく思ったが、夜番の鐘はいつも通り鳴らした。楽しい日にも守る仕事を忘れない、その両方が村の日常だった。




