壊れた椅子
共同の休憩所で長椅子の脚が折れた。腰を下ろした老人は幸い転ばなかったが、周りの子どもが驚いて走り出した。ギルは木を替えれば済むと考えたものの、他の椅子にも同じ痩せた継ぎ目があった。
ミラは修理の数を増やす前に、誰が椅子を使うか聞いた。立ち上がる時に手すりが欲しい人、足が床へ届かない子、座面が高すぎる人。セランは頑丈な椅子を一つ作るより、使う場所を分ける方が安全だと話した。
残った木材は橋の古板から取ったものだった。川にさらされた部分は見た目が良くても内部が傷んでいた。ギルは材料の来歴を知るため、置き場に札を付けた。安い材料で済ませるつもりが、後から大きな怪我を招くこともある。
修理した椅子を広場へ出すと、オル婆が腰を下ろし、立ち上がる動作を試した。脚は揺れないが、手を置く幅が狭い。木を削り直し、角へ布を巻いた。座れることと立てることを両方確かめて、ようやく使う場所を決めた。
ギルは椅子の脚を外すと、中に水が入った跡を見つけた。窓の近くへ置かれていたため、雨が吹き込むたびに濡れていたらしい。木材を取り替えるだけでなく、椅子の置き場を変えた。オル婆は以前その窓から外を眺めるのが好きだったと話し、少し残念そうな顔をした。セランは新しい椅子の角度を変え、座ったまま窓が見えるようにした。丈夫に直すことと、暮らしの楽しみを残すことは両立できる。修理を見ていた子が椅子の脚を蹴り、ギルに叱られた。木の音を聞き分ける練習は、叩く強さから教えることになった。
翌日、ルークは自分の背に合う低い椅子へ座った。誰も同じ大きさの体ではない。ミラは修理済みの札が付いた椅子を眺め、丈夫さにも幾つかの意味があると思った。




