納期の雨
レアの袋を受け取りに商人が来る朝、大雨になった。乾燥棚の麻紐は湿り、完成品をそのまま荷車へ積めば染みが残る。商人は約束の日だからと急かしたが、レアは濡れた品を渡せないと伝えた。
契約書には日付があるが、雨で運搬できない時の扱いが曖昧だった。フェルンが間に入り、今日の受領確認だけ行い、実際に積むのは晴れてからにしてよいか尋ねた。相手は次の市へ遅れることを心配し、代わりに手元の乾いた品だけ先に受け取った。
リネは袋の口を二重に包み、空気を通す場所と濡らしてはいけない場所を分けた。レアは余り布を使い切ったため、村で必要な繕い物が後回しにならないよう次の注文を小さくした。商いがうまくいくほど、断る仕事も増える。
雨が止むと、荷車の車輪がぬかるみに沈んだ。セランは板を敷いたが、道の端に寄せれば畑を傷める。商人自身にも荷を軽くしてもらい、皆で短い区間だけ押した。受け渡しまでに予想外の半日が掛かった。
商人は濡れた布がどれほど傷むか知らなかったので、レアは糸の端を水に浸して見せた。染料の色が薄く移り、商人の顔色が変わる。彼は以前買った袋が雨で変色した理由をようやく理解した。今回の納品では日除け布も積み込むことになったが、村からその布まで無償で出すわけにはいかない。フェルンが運賃の増分を話し合い、双方で費用を持つと決めた。小さな品でも、届けるまでにいくつもの約束が要る。
夕方、商人は値引きしなくてよいと言った。濡れた袋より遅れた袋の方が使えるからだ。レアは初めて胸を撫で下ろした。ミラは約束を守ることと、無理に日付へ合わせることが違うと知った。




