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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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大きすぎる看板

村の入口に『安全な休み場』と書いた看板を掲げたいと若い商人が提案した。ハルヴェには食事があり、荷を預かれると噂を聞いたという。ベルクは人が増えれば商いも良くなると考えたが、ミラは預かれる荷の数を知らなかった。


セランの小屋には車輪が二つ、レアの作業場には布の包みが積まれていた。泊まれる部屋は三つしかない。看板が大きいほど、来た人は約束されたと思う。エダは実際に提供できるものだけを書き出した。


『雨宿り可』『食事は日により異なる』『大きな荷車は山道不可』。商人は地味すぎると笑ったが、誤解を防ぐには必要だった。読めない旅人向けには屋根と道の絵を添え、値段は変わるたび手書きで替えることにした。


看板が立った翌日、二人組が泊まりに来た。しかし満室で、近くの農家が一晩だけ受け入れることになった。宿代は家の持ち主が決め、村の共同金へ無理に入れなかった。紹介した責任だけはベルクが引き受ける。


看板の文面を決める会議では、宿の主人が値段を毎日書き替えるのは大変だと言った。エダは小さな板に数字だけ差し込む形を考えたが、子どもの手が届く高さだと外されそうだ。結局、値段は宿の入口で直接確かめることになった。ミラは村の入口に嘘のない案内を置けば、初めて来た人も質問をしやすいと考えた。誰がいつ掃除するかまで決めると、立派な看板を掲げるだけの話ではなくなった。朝、看板の裏に雨粒が入り、文字の薄くなった箇所があった。セランは取り付ける向きを変え、読めることを長く保つ修理を加えた。


夜、看板の下に雨が落ちた。木の板一枚でも、知らない人への約束になる。ミラは言葉を増やすより、守れる約束を小さく書く方を選んだ。

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