見知らぬ貨幣
広場の取引で、知らない模様の銀貨が見つかった。若い商人が支払いに混ぜたもので、フェルンもすぐには価値を判断できなかった。レアは品物を渡してよいか迷い、村人の中には偽物だと決めつける者もいた。
商人は北の領地で使われる貨幣だと説明したが、秤に乗せても刻印の意味は分からない。ミラは真贋を村だけで判定せず、今回は銅貨か物々交換に替えられないか尋ねた。商人は腹を立てかけたが、品を取り戻せるなら構わないと応じた。
フェルンは郡都の両替商に確かめる役を引き受けた。取引の控えには相手の名と交換した品を書き、銀貨そのものは受け取らなかった。外から来る人を疑うのと、知らない物を慎重に扱うのは同じではない。
翌日、銀貨を持っていた商人は靴紐を切らし、ギルのところで修理を頼んだ。今度は手持ちの銅貨で支払った。レアは昨日のことを謝り、相手も「私の村なら逆でも困る」と笑った。疑いが残れば、話せることも減っていく。
銀貨を見たルークが、自分も遠い国へ行けば大きな商人になれるかと尋ねた。フェルンは船や道の危険、言葉の違いを語り、最初は自分の村の市で釣り銭を間違えないことだと笑う。子どもたちは銅貨の並べ方を練習し、端数を一つずつ数えた。リネも隣で計算を習っていた。売買の値だけでなく、品を渡した記録を誰が残すかも重要になる。レアは小さな紙片を糸箱へ入れ、渡した袋の数を忘れないようにした。
市が終わる頃、子どもたちが貨幣の模様を土へ描いて遊んでいた。ミラは遠い土地の品が村へ来る不思議さを眺めた。広い世界とつながるには、取引を増やす前に知らないことを知らないと認める必要があった。




