壁の裏の音
夜番のオスカーが、古い倉庫の壁から小さな音がすると報告した。鼠だろうと誰も驚かなかったが、エダは今年の麦がそこへ置かれていることを気にした。ミラは食料を全部運び出す前に、どこから入り込んだか調べるよう頼んだ。
ギルが板の隙間を外すと、壁の向こうから乾いた泥が落ちた。外側に掘られた穴が基礎まで延びている。簡単に塞ぐと中の湿気が抜けなくなる恐れがあり、袋を別の棚へ移し、日中に風を通してから補修することになった。
作業中、去年から残っていた古い袋も見つかった。表の印が消えており、食べ物か種か分からない。ハロルドは匂いだけで判断しないと決め、傷んだ分を分けた。鼠を追い払う仕事が、忘れていた在庫の確かめ直しに変わった。
ニコは山羊小屋の周りにも同じ穴があると話した。そこで村中を一斉に掘り返す案が出たが、ベルクは家の持ち主に相談せずに進めないと告げた。各家が見つけた場所を地図へ記し、危険の大きい所から人手を回す。
穴の近くには細かな粒が散っていた。サラは床に落ちた分を拾い集めようとしたが、ニーナは汚れた麦を鍋へ戻さないよう頼んだ。鼠の通り道にあったものは、安全とは言えない。村人は惜しがりながら別に取り分け、家畜に回せるかも慎重に調べることにした。ギルは穴の周囲の土が沈んでいることにも気づき、棚を一つ後ろへ動かした。床板が弱いまま重い袋を積めば、別の事故になりかねない。修理は入口から順に進められた。
夜、オスカーはまた壁に耳を寄せた。音は消えたが、それだけで倉庫が安全とは言い切れない。ミラは新しい板に補修日を書いた。問題が静かになった後にも、見張る人の仕事は残っていた。




