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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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石段の幅

井戸の縁に仮の石段を置いてから、重い水甕を運ぶ人の足元が狭くなった。石工バルドは工事を進めたいが、普段の使い方を邪魔していると聞き、作業を中断した。ミラは石だけでなく、水を汲む人の動きを見てもらった。


ニーナは片手で桶を持ち、反対の手で小さな子を支えることがあると言う。バルドは図面の幅に余裕を取っていたつもりだったが、二人が並んですれ違うことまでは考えていなかった。通路の片側に道具を積んだことも狭さの原因だった。


作業場を村の外側へ移すと、石を運ぶ距離が増えた。ギルは手押し車を使おうとしたが、車輪が柔らかな土に沈んだ。板を敷いて短い通路を作るほうが早かった。工事を急ぐために水汲みの人を待たせるやり方は続かなかった。


井戸はまだ全面的に直っていない。バルドは傷んだ縁の一角を補強して帰る日を決め、次の仕事との都合も示した。ベルクは完成日を聞いて落胆したが、誤った約束より確かな作業日が必要だと納得した。


バルドの補修に使う石は、村の畑から切り出せるものではなかった。小ぶりの石を選んで運ぶだけでも一日の手間になる。ギルは足元を固めた短い道を先に作り、石を落とした時に水汲みの人へ当たらない位置で荷を下ろした。バルドはいつも職人が働く前に人を遠ざけるが、この村では遠ざける先に別の仕事があると知った。道具置き場を少し小さくし、使わない石は当日のうちに片付けることになった。


夕方、サラが甕を運ぶとき、狭い場所で立ち止まらずに済んだ。バルドはその様子を見て、図面の余白に人が通る線を描き足した。石は動かずとも、人の暮らしはその間を毎日通っている。

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