茶色い指先
レアの作業場で、染め糸を洗ったリネの指が茶色く荒れた。本人は大丈夫だと言ったが、針を持つと小さな傷が痛んだ。レアは仕事を休ませようとし、リネは契約の件で迷惑を掛けているからと首を振った。
ティアは妹を説得しようとして声を荒らげた。ミラは二人を離し、傷がどの作業の後に増えたかを尋ねた。灰汁で洗う桶を使った日が続いていた。オル婆は手を清潔な水で流すよう助言し、悪化するなら医者へ相談するよう言った。
水桶の置き場を変えるだけでも運ぶ距離が増える。レアは古い台を取り出し、作業する人が交代できる位置に据えた。染め方そのものを変えるには買い手の承諾がいるため、今ある注文では色むらの出ない少量だけを残した。
翌日は別の縫い手が染め場に立った。リネは布を切る作業へ移り、指の傷が引くまで細かな針を使わなかった。誰かが休めば別の誰かに負担が移る。その負担を見えなくしないよう、レアは仕事の時間を書き添えた。
作業台には昨年の硬い糸が残っていた。レアが触るとぱりぱりと切れ、染め直しはできそうにない。リネは使えない糸を自分の失敗だと思い込んだが、まだ村へ来る前のものだと知って困った顔をした。レアは古い失敗の責任を新しい人へ負わせる気はないと伝え、糸箱の保管場所を乾いた棚へ変えた。ティアは仕事の帰りに妹の手を眺め、傷の数ではなく昨日より痛くないかを聞いた。返事を急がせず一緒に歩いた。
夜、リネはまだ動く指を見つめ、仕事を失わなかったことに戸惑った。ティアは大丈夫と何度も言うかわり、明日の切り布を一緒に数えた。ミラはその横で、休む日を言い出せる仕事場でなければ守れないものがあると思った。




