雨樋の持ち主
サラの家の雨樋から落ちた水が、隣のニコの薪置き場へ流れ込んだ。去年までは空き地だった場所に小屋が建ち、屋根からの水の行方が変わっていた。サラは樋を付け替えると言ったが、替えれば今度は通路が泥になる。
ニコは薪を動かす場所がないと訴えた。ミラは二人の境を測らず、まず雨の日に水がどこを通るかを聞いた。ルークが小枝を浮かべたことを思い出し、水溜まりの深さを教えた。ギルは傾きに沿って浅い溝を掘る案を出した。
溝の先にはオル婆の薬草畑がある。オル婆は土が削られると嫌がり、かわりに古い石皿を幾つか並べて水の勢いを弱める案を示した。大きな樋を一気に直さず、短い木筒と石で受ける。晴天に完成させても、雨が降るまでは決められない。
次の雨で薪の下は濡れなくなったが、石皿の一つが動いていた。ギルが固定具を追加し、ニコは薪を地面から少し上げた。サラは樋の掃除が自分の仕事だと申し出たが、高所へ上る日は一人で作業しないと約束させられた。
試しの石皿を並べると、ルークが水を撒いて流れを見ようと言った。だが井戸の水は貴重なので、ギルは余っていた洗い水を少しだけ使った。水筋は思ったより右へ寄り、ニコの靴置き場まで届いた。子どもは面白がったが、サラはここも毎日誰かが通る場所だと教えた。オル婆が置いた皿には欠けた縁があり、踏みやすい側を避けて埋め直した。雨の来る前に分かったことは小さくても無駄ではなかった。
ミラが夕食に寄ると、二人は同じ卓で雨音を聞いていた。誰かの家を乾かす工夫が、隣家に水を押しつけるだけなら意味がない。軒の下に落ちる雫は細いままで、次の強い雨にはまだ備えが要った。




