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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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二つの測り方

麦倉でエダが古い秤を出すと、籠一杯の麦が去年の帳面より軽かった。ギルは収穫が減ったのかと眉を寄せたが、量った籠は底が擦り切れ、縁の木も取り替えられていた。ミラは麦を戻し、量る道具から確かめようと提案した。


フェルンの持つ商用の分銅を借りると、古い秤は重い荷ほど針が遅れた。エダはこれまでの数字を全部書き直しかけたが、ベルクが止めた。過去の重さは推測でしか直せない。まず不確かな数字に印を付け、今年から同じ道具を使うことにした。


商人の分銅が正しい保証もないので、郡都の検量所で照らし合わせる手紙をフェルンに託す。袋に詰める人によって粒の詰まり方も異なり、サラは子どもに袋の口を押さえさせず、台の上で均す方法を試した。昼には数字のずれが小さくなった。


ハロルドは「帳面の麦は腹を満たさない」と笑った。ミラも頷いたが、食べられる量を誤れば冬の鍋が減る。今夜使う分だけは秤に頼らず、家ごとの人数と食べ残しを見て調整した。麦倉の新しい印は、豊作を告げる飾りではなく、まだ確かめていない量のしるしだった。


エダは秤の皿を布で磨き、錆びた支点に油を差した。昨日まで当たり前に使っていた道具の癖を知る人は、もう亡くなっている。倉庫の外ではニーナが水を汲む人を待っており、麦の計量に時間を取られた者は代役を頼んだ。量り方を変えれば仕事の時間も変わるので、朝のうちに終える袋の数を減らした。


夕方、エダは去年の帳面を閉じずに机へ残した。間違いのある記録にも、誰がいつ困っていたかは書かれている。ミラは消し跡だらけの頁を手で押さえ、数字を正しくすることと、記した人を責めないことを同じ仕事として考えた。

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