灰の行方
朝になると、炉から出た灰が家の脇へ捨てられた。風が強い日は畑へ飛び、雨の日には道を汚す。ミラは灰を集めれば役に立つと聞いたことがあったが、使い方を知らなかった。鍛冶屋のガルドは冷えた灰を見分け、石鹸作りに使えるものと土に戻せるものを分けて見せた。
しかし灰の中にはまだ熱を持つ炭が混じる。小屋の横に山を作ろうとした若者を止め、ミラは石で囲った冷却場所を指定した。灰を持ち込む前に水をかければよいという意見も、ただ濡らせば泥が増えると反論される。ガルドは蓋の付いた鉄桶を一つ貸し、冷えてから運ぶ手順を教えた。
灰の置き場を作る時、ガルドは風向きにこだわった。小屋の壁際は便利だが、灰が舞えば洗濯物を汚す。ミラは庭の隅を候補にしたが、子どもたちが近道に使っている場所だった。結局、鍛冶屋の石塀の内側に小さく囲いを作り、桶の出し入れだけできる幅を残した。誰かの通り道を塞ぐ必要はなかった。
灰の分け方は紙の色ではなく、桶の形で見分けることにした。文字の読めない者が間違えても危険の少ないよう、冷えていない灰は持ち込まない決まりを繰り返し確認した。ニーナの試験区画について尋ねる村人には、まだ何も分からないと答えた。効くと決めつける言葉は、一度広まると止めにくいものだった。
畑に使う量も一度に決めない。ニーナが小さな試験区画を選び、撒いた場所に枝札を立てた。農夫たちは「灰で麦が育つなら苦労しない」と言いながら、その札を抜かなかった。村長が広場の板へ新しい欄を増やすか尋ねると、ミラは断った。結果の出ていない工夫は、まだ約束にはできない。使い道の分からなかったものを、分かるまで分けて置く。それだけの仕事が、冬の朝に一つ増えた。




