木を切らない約束
薪不足を聞いた森番オスカーは、残った若木まで切られるのを恐れた。村を囲む林は広くない。毎年冬を越すたび、奥へ歩く距離が延びていた。ミラは薪を増やそうと言いかけたが、先にオスカーの案内で森へ入った。切り株の間には、春に芽を出したばかりの細木が並んでいた。
「ここを切ったら来年がなくなる」。彼の言葉は脅しではない。かつて獣道だった場所が、今は雨の通り道になっていた。ミラは倒木と落枝だけを拾う区域を分けられないか聞いた。集めやすい場所に人が集中しないよう、収穫後の畑を通る順番も調整する。オスカーは木に細い布を結び、踏み込んではいけない斜面を示した。
拾う薪の区域を決めた後、森番は地面に幾つかの目印を置いた。雨で土が流れれば、その石も動く。だから布を巻いた木を記録し、季節ごとに確かめ直すことにした。ミラは森を所有するような地図を描きたくなかった。村が使ってよい場所と、踏み込むと危険な場所を区別するためのものだった。
薪を運ぶ帰り道、オスカーは小さな動物の巣を見つけ、子どもたちを遠ざけた。倒木だからといって、必ずしもすぐ切ってよいわけではない。巣のある幹はその年は残し、別の枝を探した。手に入る薪は減ったが、村人は怒らなかった。何を守るために何を諦めたのか、森番がきちんと話したからだ。
翌日、共同鍋で使う薪は確かに減ったが、各家庭での消費はまだ大きい。ミラは炉を塞ぐ石の置き方を鍛冶屋に習い、煙が室内へ戻らない範囲で隙間を狭めた。試した家の一つでは薪が少し長持ちした。別の家では煙がこもり、すぐ元に戻した。全ての炉が同じではない。森を守るために家の中の命を削ってはならない、と彼女は帳面に書いた。




