滑る坂
ルークの言っていた坂は、雨の後に石の間へ泥が詰まり、子どもの小さな靴が滑りやすくなっていた。大人が歩く時は気づかない。ミラはルークに実際の道を案内してもらい、どこで足を取られるかを見た。少年は転ぶふりをして見せ、ハロルドに叱られた。
ギルは坂へ石を敷き直す案を出したが、手持ちの石だけでは足りない。セランは歩く場所を左右へ分け、荷を運ぶ道と子どもが歩く道を別にできないかと考えた。広げすぎると隣の畑の端へ入るため、持ち主へ先に話を聞いた。
畑の持ち主は広がる道を嫌がったが、使っていない細い縁なら通ってよいと認めた。代わりに踏まれないよう、低い木の柵を付けてほしいと言う。ギルが半日で作り、ルークは柵の間へ指が挟まらないか確かめた。
翌日、幼い子を連れた母親が坂を歩き、前より安心できると話した。ただし雨が降っていないので、本当に滑らないかはまだ分からない。ミラは晴れた日に完成と言わず、次の雨の後に確かめることを約束した。
坂の下には雨の日に水が溜まる場所があり、子どもはそこを避けて畑の縁へ入っていた。ルークは最初、道が狭いからだと思っていたが、ギルと歩いて原因が分かった。水たまりを排水溝へ繋げる工事はすぐにはできない。まず足を置ける平たい石を一つ増やし、泥へ踏み込まずに済むか試した。
ルークは村の仕事を一つ動かしたことが誇らしく、何度も坂を往復した。ハロルドは「石を磨り減らすな」と冗談を言った。ミラは笑いながら、子どもが歩ける道を大人だけの目で判断しなくてよかったと思った。守るべき人の声を聞くことが、仕事の始まりになる。




