流木の行方
川が落ち着くと、橋の下には大きな流木が引っ掛かっていた。次の雨で水を堰き止める恐れがある。ギルは縄を掛けて岸から引こうとしたが、太い幹はびくともしなかった。オスカーは水に入ることを禁じ、上流の村へ流木の動きを知らせた。
石工バルドはたまたま近くの村で働いており、見に来てくれた。橋脚が削れたまま流木を引けば、残った石積みが崩れる可能性があるという。セランは引く方向を変えようとしたが、バルドは水位がもっと下がるまで待つよう助言した。
待つ間にも川辺の道は使えない。ハロルドは荷運びが遅れることに苛立ち、ベルクへ何度も相談した。ベルクは心配を受け止めながら、危険の判断を変えなかった。ミラは村で使う粉と塩の残量を確かめ、道が止まっても何日持つかを書いた。
数日後、水が十分下がってから、男たちは岸の木に縄を掛けた。引く力を合わせても動かず、一度手を離した。バルドは幹を短く切る位置を示し、ギルが岸から届く部分だけを慎重に削った。作業には二日掛かった。
切り離した流木の枝は河原へ積み、まだ湿っているため薪には使わなかった。子どもが拾いに来たので、オスカーは急な流れへ近づかない位置にだけ置くよう教えた。大きな幹は重すぎて動かせず、しばらく岸に残る。川で使う木と家で焚く木では、乾かす場所も必要な時間も違っていた。
最後の流木が離れた時、誰も歓声を上げなかった。橋脚には新しい傷があり、修理はさらに難しくなっていた。それでも次の雨に備える余地はできた。ミラは川を渡れるようになったとは記さず、流れを塞ぐものが一つ減ったとだけ書き留めた。




