朝の泥
夜が明けると、川辺の道は泥に覆われていた。橋の手前の通行止め札は残ったが、赤い布は引き裂かれている。ハロルドの畑の低い部分には水が溜まり、若い作物の葉が倒れていた。ミラは被害を数えようとしたが、まず人の家と家畜小屋へ向かった。
オスカーが家を一軒ずつ確かめ、誰も夜に川へ出ていないことを確認した。ニコの山羊は無事だったが、敷料が濡れていた。サラは共同の食事を少し早く出し、片付けに行く人が空腹のまま働かないようにした。水が引くまで、川辺の道は閉じたままにした。
昼過ぎ、泥を落としながらギルが橋を見た。板を支えていた古い石が一つ流され、修理の費用はさらに増えるらしい。ミラは落胆した。今まで積み重ねた工夫が一晩で消えたように感じたが、通行止めを守ったから怪我人はいなかった。
グレサから人が来て、柳の近くで川岸が削られたと知らせた。境界石の位置は変わり、夏の話し合いで描いた地図も修正が必要になった。ベルクは争いの続きを始める前に、安全な道を確かめようと提案した。長老も同意した。
サラは泥で滑った農夫の膝を洗い、深い傷がないことを確かめた。怪我人はいないと報告した後でも、転びかけた人はいた。ミラはその話を聞き、道の一部をもう一日閉じることにした。被害が小さかったから危険も小さいとは限らない。朝の光で見える土の傷は、夜より深かった。
夕方、泥の中からルークが小さな木札を拾った。かつて倉庫の袋へ付けていたものだ。水に濡れて文字は消えていたが、彼は洗って持ち帰った。ミラは新しい札を作るつもりでいた。流された物を全部戻すことはできない。それでも今日残ったものを、明日へ渡していくしかなかった。




