山の雨音
山の上で三日続いた雨が、ハルヴェの川を膨らませた。村ではまだ空が晴れていたため、子どもたちが川辺で遊びたがった。トーマは上流から運ばれた木の葉を見て、すぐ岸へ戻るよう言った。水の色がいつもより濃く、流れが速くなっている。
オスカーは橋の見回りに行き、板を留めた縄が緩んでいるのを見つけた。手で直そうとしたが、水際へ降りるのは危険だ。ミラは見回りを遠くからの観察に変え、川辺の道を一時的に閉じた。荷車を運ぶ者には峠道を使うよう知らせた。
夕方になって雨が降り始め、下流の柳の根元が水に浸かった。グレサからも同じ知らせが届いた。境界の争いが残っていても、増水の情報はすぐ交換できる。ベルクは隣村の長老へ返事を送り、夜は川沿いに近づかないよう双方の家へ伝えた。
水が溢れるほどではなかったが、低い畑に泥が入り始めた。ハロルドは作物を気にして夜に見に行こうとし、ニコに止められた。畑が傷むのはつらい。しかし人が流されれば取り返しがつかない。二人は明るくなってから調べる約束をした。
増水の合図を聞いたオル婆は、戸を閉める前に裏庭の鉢を棚へ上げた。膝の痛みで全部は動かせず、近所の娘が手伝った。畑の泥を防ぐ大工事はできなくても、小さな豆の根を水から遠ざけることはできる。互いの家の危険を知っている人がいるおかげで、暗くなる前に仕事が終わった。
ミラは夜番の鐘を見上げた。鳴らす合図は獣と火だけでなく、増水の時にも使うよう相談していた。今夜は危険を知らせる大きな鐘を一度だけ鳴らし、村人が戸口から川を見ないようにした。水の音は夜通し続いていた。




