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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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記録係の休み

エダが三日続けて頭痛を訴え、帳面を開けなくなった。村では何かを決めるたび、誰かが「エダに聞けばいい」と言うようになっていた。サラが代わりに倉庫の記録を付けようとしたが、秤の印の意味が分からない。ミラはエダを休ませ、まず今夜の食料を数える仕事だけ分けた。


ミラが帳面を読み上げると、ギルとレアもそれぞれの仕事の欄なら理解できた。全部を一人で覚えなくても、持ち場ごとに知ることはできる。エダが回復するまで会計の変更は最小限とし、急ぐ支払いだけベルクが確認して署名することにした。


翌日、倉庫から干し豆を出す時、数量を書き忘れる家があった。責める声が出たが、サラは自分も初めてでは忘れると答えた。帳面を置く位置を変え、豆を取り出したら自然に目へ入る場所へ移した。小さな工夫で減らせる失敗もある。


エダは寝床から皆の仕事を見て、少し寂しそうに笑った。「私がいなくても回るのね」。ミラは「だから、ゆっくり休める」と答えた。誰かが休んだ時に仕事が全部止まるなら、頑張ってきた人ほど休めなくなる。エダはその夜、久しぶりに帳面を開かず眠った。


エダが休んでいる間、広場の掲示板には文字の間違いが二つあった。ルークが見つけ、サラは恥ずかしそうに直した。字が得意でない大人も、皆で見れば確かめられる。エダが戻ってから、記録を読む人を二人にすることになった。誰かを監視するためではなく、一人が見落とした時に支えるためだった。


三日後、彼女は広場へ戻り、記録に抜けがあることを見つけた。それでも怒らず、直し方を一緒に考えた。完璧ではなくても、残る人たちが困りごとを引き受けられたことが大事だった。ミラは次に誰が休んでもよいよう、読みやすい記録を作りたいと思った。

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