↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
109/228

知らない署名

旅の男がハルヴェへ来て、峠で働いていたリネの契約書を持っていると言った。紙を見せる代わりに銅貨を求め、妹を連れ戻す権利もあると主張した。ティアは震え、ベルクはすぐ払おうとしたが、ミラは誰がその紙を書いたか確かめたいと言った。


男は紙の端をちらりと見せた。そこにはリネの名らしい文字と、彼女の知らない印がある。エダは紙の材質や封蝋を眺め、郡都で見た契約書とは違うと気づいた。ただし本物でないと断定できる知識もない。ミラは男へ、村で契約の確認をするまで金は払えないと告げた。


男は声を荒らげ、役所へ訴えると脅した。ベルクは村に来た人を勝手に拘束せず、宿と帰路を案内するに留めた。ティアとリネには別の家で落ち着いて過ごしてもらった。ミラは男と姉妹を同じ場へ呼び出さなかった。


夜、リネは自分の名前の書き方が契約書と違うと話した。以前は字を書けなかったからだ。ただし誰かが代わりに書いた可能性もある。ティアは契約を見ていないことを思い出し、曖昧な記憶を紙へ書いた。二人の言葉も、決めつけずに残す。


男が去る時、村の子どもが何者なのかと尋ねた。ベルクは知らない人を追いかけないよう諭し、詳しい事情を広場で話さなかった。噂になれば、まだ答えの出ていない契約の話が、姉妹の評判を傷つける。ミラは不安を隠さず、ただ本人の許しなく名前を広げないよう頼んだ。


翌朝、男は郡都へ向かうと言って村を出た。何かが解決したわけではない。ミラはティアへ、次の相談日に役所へ行く準備を始めようと伝えた。怖がる二人が今日の仕事へ戻れるよう、村では普段の鍋と針仕事が続いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。