畑を預ける約束
グレサの老農夫が腰を痛め、畑を一季だけ隣家へ預けたいと相談した。だが隣家は翌年の所有権まで移るのではと恐れている。二つの村の長老が話し合う中、ミラは畑を耕す人と、土地を持つ人を分けて書けないかと尋ねた。
老農夫は収穫の何割を受け取れるのか気にし、耕す側は不作でも仕事代が欲しいと言った。エダは収穫物を分ける方式と、働いた日数で払う方式を別々に計算した。どちらがよいかは、今年の作柄によって変わる。ミラは数字を示し、二人が話せるよう紙を置いた。
最終的に、種は持ち主が用意し、仕事の賃金は一部を現物で支払う取り決めになった。畑の所有は変わらず、次の春にもう一度相談する。立会人にはグレサの長老とハルヴェのベルクが署名した。村の違う者が立ち会うのは珍しかった。
老農夫は契約を読み上げられると、何度も首を縦に振った。文字が読めなくても、説明を聞いて納得できるようにしたかった。彼は自分の名を印で残し、控えを息子へ渡した。これまで口約束で済ませてきたことを紙に書くには、少し勇気が要った。
老農夫の息子は最初、他人に畑を渡す父へ怒った。しかし毎朝、腰を曲げて立つ姿を見ていたから、無理を続ければ倒れるとも知っていた。契約の紙を一緒に読むうち、息子は秋の片付けだけなら手伝えると申し出た。家族の気持ちは一つの署名で片付かないが、話せることは少し増えた。
帰り道、ミラはハルヴェにも同じ悩みが出る日を考えた。誰も年を取らない村ではない。畑を守ることが、耕している人を無理に働かせることになってはいけない。畑を預ける約束の紙は、まだ小さな二村の関係の中で意味を持ち始めた。




