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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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鍋の底のひび

夕食の準備中、共同鍋の底に細いひびが見つかった。サラはしばらく使えると言ったが、熱で割れれば煮えた汁がこぼれる。ニーナは火を落とすよう頼み、皆で鍋を持ち上げてみた。底の外側には黒い筋が伸び、今にも割れそうだった。


翌日の食事をどうするか決めるまで、サラは小さな鍋を各家から借りた。炊き出しを分散すると薪が余分に要るし、味も揃わない。それでも一つの鍋に全員の食事を預けていた危うさが見えた。エダは借りた鍋の持ち主と返却日を書いた。


修理できる鍋かどうかを聞くため、セランが隣町の鍛冶屋へ持っていった。鍛冶屋は底の金属が薄すぎると首を振り、新しい鍋の値段を告げた。その値段は村が簡単に払える額ではなかった。ミラは鍋を買う費用と、分散調理にかかる薪の量を比べた。


サラは慣れた大鍋を失って気落ちしたが、手伝いに来たティアが二軒のかまどを使い分ける案を出した。病人用の食事と、働く人の食事を時間差で作れる。サラは自分が全部の鍋を見なくても済むよう、数人に火加減を教え始めた。


大鍋を片付ける日、サラは底を軽く叩いて長く使った音を確かめた。冬の飢えた日に皆で分けた粥も、この鍋で煮たものだった。レアは使えなくなった取っ手を外し、記念に飾ろうかと尋ねた。サラは照れたように笑い、まず壊れた金属を子どもの手の届かない場所へ置いてほしいと頼んだ。


夜、広場の大きなかまどには火がなかった。それでも村人の食卓には温かい汁が並んだ。ミラは新しい鍋を急いで買うと決めず、しばらく小さな鍋で過ごした時の負担を数えることにした。一つ失って見えた不便さが、次の支え方を教えてくれた。

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