書かれた人数
役人が帰って二日後、エダは調査票の写しに気づいた。村の人数が冬より増えており、税の対象が増えたと判断される恐れがある。新しく来た姉妹や旅人は、全員が同じ扱いではない。ベルクは村へ住む人を隠すことはできないと答え、ミラも同意した。
問題は人数の数え方だった。収穫を分ける口の数と、税を納める世帯の数は違う。エダは滞在日と家の仕事を別々に記した。町の医者へ運んだルークの祖父も、一時的に村を離れただけで家を失ったわけではない。紙の小さな欄に、全ての事情を押し込むことはできなかった。
ティアは妹の名が役所へ渡ると聞き、顔色を変えた。ミラは人数の報告を出したことと、氏名を提出したかどうかを説明した。今回の写しには名前が書かれていない。しかし別の照会があれば答えを考えなければならないと、曖昧にしなかった。
村長は来訪した役人へ聞く質問を紙にまとめ、次の便で送ることにした。居住と滞在の違い、扶養の扱い、納税の基準。どれも村には難しい言葉だったが、知らないまま頷いてしまえば誰かが困る。エダは小さな文字を読みながら、何度も書き直した。
人数を数える表には、出稼ぎから戻った人も含めるべきかという質問が出た。ベルクはその家が畑を維持しているなら村人だと答え、エダは役所の基準と村の感覚を分けて記した。数字の上では同じ一人でも、食事を誰と分け、どこへ帰るかは違う。ミラはそこを曖昧にしたくなかった。
夕方、リネは井戸の横でルークに字を教わっていた。自分の名を書けるようになったと、少女は小さな板を見せた。ミラは笑って褒めたが、その名をどこへ提出するかは本人と相談して決めたかった。記録は人を助けることも、縛ることもあるのだった。




