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剛腕のジェイラス、撃砕のカレルヴァ

とある町の冒険者が集う酒場は、今日も大いに賑わっていた。


ジェイラスは酒場に入ると、女性を物色し始めた。


ジェイラスは190センチ以上の大柄で、引き締まった体格に目鼻立ちの整った色男だ。


「ジェイラス」

ジェイラスの背後から女性の声がする。


「おお!オルトリンデじゃねぇか」

ジェイラスは振り向く前に、声の主を言い当てた。


「あら、よくわかったわね」


「一度会った女は、声でわかる」


「さすが、最強の女たらしね」


「なんの用で来たか知らねぇが、一杯付き合えよ」

ジェイラスが右手でカウンターを叩く。


「ええ、いいけど、今日はカレルヴァはいないの?」


「アイツなら奥にいるんじゃねぇか?」


「はぁ〜い、ジェイラス、あら?今日は先約がいるの?」

厚化粧の派手な女が、ジェイラスに声をかける。


「ご心配なく、私はちょっと話があるだけだから」

オルトリンデが女に微笑みかける。


「なんだよオルトリンデ、やっと俺に抱かれる気になったのかと思ったのによ〜」


「残念ね」


「で?何の用だ?」

ジェイラスが店員にエールを注文する。


「11英雄の回顧録を作ろうと思うの、協力してくれない?」


「はぁ?そんなもん作ってどうすんだよ」


「面白いじゃない、11英雄がどんな奴らだったのか、後世に残したいのよ」


「俺はモテモテのハンサムボーイって、書いてくれるか?ウハハハハ!」


「そうね、無責任に9人も孕ませた英雄ってね」


「あん?」

ジェイラスの目つきが変わった。


「グハハハハ!10人じゃよ!」

カレルヴァが骨付き肉をかじりながら歩いてきた。


「うわ!汚っ!風呂入ってないの!?」

オルトリンデは嫌悪の情を込めた目で見た。


カレルヴァの服は何の汚れか分からないシミだらけで、口の周りや手も油でベトベトになっていた。


「ワシがどうしようと、お前の知ったことじゃないわい!」

「相変わらず口の減らんバカ女め!」


「バカはどっちよ!てか、アンタ10人って、1人増えてるじゃない!最低!」

オルトリンデは鼻をつまみながら、ジェイラスに怒鳴り散らした。


「おいおい!誤解すんじゃねえ!俺は戦争で減った分、補填してるんじゃねぇか!社会貢献の一環だ!」


「でも、責任取ってないんでしょ!」


「バカ言うな!10年は遊んで暮らせる金は払ってやってる!」


「あんたらには、ホントに呆れるわ」


「おいおい!この女たらしとワシを一緒にするな!」

カレルヴァがオルトリンデに食ってかかる。


「ギャア!近寄るな!喋るな!臭い!」

オルトリンデがカレルヴァから距離を取る。


「このクソアマァ!大して仕事もしとらんのに、英雄面しおって!女じゃなかったら、肥溜めに放り込んでやるところだ!」


「なぁ、久し振りの再会だぞ、もうちょっと楽しく飲もうぜ」

ジェイラスがエールを一気に飲み干す。


「はぁ~、アンタ達が、たった2人で16の町や村を救ったなんて、いまだに信じられないわ」

オルトリンデもエールを呷る。


「貴様はその時、何にもしとらんじゃないか!」

カレルヴァが口から肉を飛ばしながら怒鳴った。


「ギャアアア!ちょっと、私の手に飛んだじゃない!最悪!」


「グハハハハハハハ!ペッ!ペッ!ほれほれ〜!」

カレルヴァがオルトリンデにツバを飛ばす。


「いやぁぁぁぁ!殺す!絶対に殺す!」

オルトリンデがカレルヴァを睨みつける。


「やってみろ!モヤシみたいな貴様になんぞ負けんわ!」


「はいはい、もういいだろ、俺がおごるから飲もうぜ!」

ジェイラスが2人の間に割って入る。


「ジェイラス、アンタ、よくコイツの相棒やってられるわね、臭くないの?」


「あ、俺、昔から鼻が悪くてな、ウハハ!」


「あ、納得だわ」

オルトリンデがぽんと手を打つ。


「グハハハ!おごりなら、ここは休戦といこう!」

カレルヴァが店員に大量に酒と食べ物を注文する。


ーーーアハハ、ある意味、私にとって一番苦手な相手だわ・・・

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