それぞれの道
「かぁ~!さっぱりしたぁ!」
アルレットが研修センターの大浴場から食堂に戻ってくる。
「ここのお風呂すごかったね〜」
タオルターバンをしたダーリアが、アルレットの後ろから声をかける。
「レオがサウナから出てこないから、倒れているのかと思ったよ」
ダンテが食堂でエールを飲みながら言った。
「お前なんか、烈火のくせにサウナからすぐに出ていったな」
レオがダンテに言い返す。
「お、雨がやんだかな?」
カルロが外の様子を見ながら言った。
「私、帰ろうかな、明日は仕事だし」
ダーリアがレモン水を飲みながら言った。
「ダーリア、送っていくぜ、何なら俺の家に泊まって行くか?」
ジェイラスがダーリアの肩に手を回す。
「結構よ、あんたに送ってもらうくらいなら、ゴーレムに乗った方がマシよ」
ダーリアがジェイラスの手を振り払う。
「残念ながら10式に座席は無いぞ」
ミリアリアがお好み焼きを頬張りながら言った。
「ちょっとぉ、ミリアリアとカレルヴァはお風呂入ってないよね?汚いし臭いのよ!」
ダーリアが強い口調で言う。
「飯が先だ」
「大戦中は1ヶ月くらい入らんかったからのぅ」
「オルトリンデが帰ってきたら、追い出されるな」
アルレットが呆れた口調で言った。
「私は帰るとするよ、明日、神殿に呼ばれてるからな」
クリムが立ち上がって去ろうとする。
「皆、楽しそうね」
オルトリンデとセリーン、ラッセルが食堂に入ってくる。
「あ、オルトリンデ、何というかその、たまにはこういうのも悪くないな、また呼んでくれ」
クリムがオルトリンデの肩を叩くと、食堂から出ていった。
「またね、クリム!」
「オルトリンデ、ご苦労だった。集落の人々は大丈夫か?」
レオがオルトリンデに訊ねる。
「ええ、カムレンさんに後をお願いしてきたわ」
「さあ、お風呂行こう!ラッセル、ここには家族風呂っていうのがあって、2人で入れるんだよ!」
セリーンがはしゃぎながら言った。
「フフフ、最高だ」
ラッセルがニヤケ顔で呟く。
「いいわねぇ〜、ラブラブで」
ダーリアはそう言って立ち上がると、オルトリンデの目の前にやって来た。
「あんたは最高の英雄よ、オルトリンデ!」
ダーリアが右手を出して握手を求める。
「ありがとう、ダーリア!」
オルトリンデがダーリアの右手を握る。
「じゃあね、また会いましょう!」
ダーリアが帰っていった。
「ええ、またね」
「俺は明日の工程のチェックがあるから、部屋に戻るわ」
「また明日な、オルトリンデ」
カルロが自室に戻っていく。
「そうね、明日もよろしく!」
「オルトリンデ」
ダンテがオルトリンデに声をかける。
「正直、最初は同じ魔導士として、お前に嫉妬や妬みを抱いていたが、昨日の一件で、全て洗い流された気分だよ、今まですまなかった、オルトリンデ」
ダンテがオルトリンデに頭を下げる。
「やめてよダンテ、何も気にしてないし、それに、とても助かったわ!」
「いや、大したことはしてない。ああ!食事の話は本気だぞ、忙しいとは思うが、暇が出来た時に空間魔法で顔を出してくれ、俺がご馳走する」
「わかった、必ず行く」
「じゃあな、頑張れよ」
ダンテが食堂を去っていく。
「あなたもね、ダンテ」
「私は工事現場を見たいからな、もう一泊いいかな?」
レオがレモン水をカウンターで注文しながら言った。
「せっかくだし、ゆっくりしていって、あなたにはお願いしたいことが、タァ〜プリあるし・・・」
オルトリンデは人差し指を左右に動かしながら言った。
「ははは!恐ろしいが、楽しみでもあるな」
「ワシも、もう一泊するぞ!」
カレルヴァが食べ散らかしながら言った。
「ぎゃあああ!おい、先に風呂行けぇ!ミリアリア、お前もだぁ!今すぐ行かないと、魔法で叩き出すぞ!」
「川の水を海に転送出来る女だからな、ゴミ袋2つくらい楽勝でしょ」
アルレットが爆笑しながら言った。
「あ、私も警備の打ち合わせあるんだっけ?部屋取ってもらっていい?」
「ええ、ちゃんと押さえてあるわ」
オルトリンデが笑顔で返す。
「アルレット、少しいいか?」
レオが緊張しながらアルレットに声をかけた。
「ん?」
「警備隊の訓練費の件だが、その、すまなかった、許してくれ」
レオがアルレットに頭を下げた。
「もういいよ、君主が削ったんでしょ?」
「だが、受け入れたのは私だ、その金は私が責任を持って何とかする!」
レオは頭を下げたまま、言葉を続けた。
「じゃあ今日は、私の愚痴にとことん付き合ってよ、飲みながら、タァ〜プリと・・・」
アルレットはオルトリンデのマネをして、人差し指を左右に振った。
ーーーこれは、試練だ・・・
レオは自分に言い聞かす。
「おい、オルトリンデ、たまには俺と2人でしっぽりと・・・」
「ジェイラス、ダーリア追っかけて帰ったら?」
オルトリンデがおどけた表情で言い放った。
「よし、今日は私が、腕によりをかけて料理をするわ!」
オルトリンデが厨房に入っていく。
「グハハハ!ワシ一人で15人前だぞ!」
カレルヴァが口からパンを飛ばしながら言った。
その日、レオ、アルレット、ジェイラス、カレルヴァ、セリーン、ラッセル、オルトリンデは、遅くまで食堂で騒いでいた。
セリーンとラッセルが2時間程席を外した以外、皆は笑い合い、罵り合いながら夜を明かした。
オルトリンデは皆を眺めながら、ワインを嗜んでいた。
ーーーホント、愛すべきクソ野郎達ね。




