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英知の魔導士

「大変よ!」

セリーンがレオに大声を出しながら近づく。


「どうした?」


「西から魔物が迫ってる!この集落の現状に気づいて襲ってくるみたいだ!」


「なに!?」


「まだある」

ラッセルが呟く。


「すぐ側の川が氾濫しかけてる!」


「なんだとぉ!」

レオが苦渋の表情を見せる。


「魔物の数は約40!」

ラッセルがセリーンの代わりに補足する。


「救出が手薄になるが、ここは俺たちが行こう、な?相棒」

ジェイラスがカレルヴァと肩を組む。

「グハハハハ!戦いは我らの本分じゃ!任さんかい!」


「敵の数は40だ、私も行こう」

レオが加わろうとしたその時。


「おぬしにはここを仕切る役目があるじゃろうが!」

カレルヴァがレオを突き放つ。


「俺たちの最高記録を教えてやれ、カレルヴァ」

ジェイラスがスコップを地面に突き刺す。


「150匹じゃな」

カレルヴァがスコップを投げ捨てる。


「大丈夫なの?」

オルトリンデが心配そうな目でジェイラスとカレルヴァを見つめる。


「おっ!ついに俺に惚れたか?オルトリンデ」

ジェイラスが顔を突き出す。


「そいつらなら、殺しても死なん」

ミリアリアが10式の肩に乗りながら言った。


「なら、川の氾濫は私が何とかする」

オルトリンデがレオに言った。


「こんな時に何だが、教えてくれオルトリンデ、あれは空間魔法なのか?」

ダンテが迫真の表情で訊ねる。


「そうよ、私が作ったの」


そこにいるミリアリア以外の全員が驚愕する。


「もうこれ以上、俺を驚かさないでくれ、心臓に悪い」

レオが顔に手を当てて首を横に振った。


「わかった、スッキリしたよ」

ダンテは笑顔を見せた。

「足手まといかも知れんが、私もついて行っていいか?」


「ええ!心強いわ!」

オルトリンデが笑顔で応える。


「わかった、お前達を信じる!そう、お前達は最高の英雄だ!だが、死ぬな!全員救って、皆で生きて帰るぞ!」

レオが皆に命令する。


「言われなくてもなぁ、カレルヴァ」


「ああ、美味い飯が待っとる!」


「仕方ないわね、豚の丸焼きでも作ってあげるわよ」

オルトリンデが呆れながら言った。


「全く、これから命がけと言うのに、品の無い会話をしやがって」

ダンテが呆れ果てる。


ジェイラスとカレルヴァが大きな武器を担いで走っていく。


「ダンテ、行きましょう!」

オルトリンデがダンテに微笑みかける。


「ああ!」


2人は魔法で空高く舞い上がった。


「ダンテ、魔力強化の補助をお願い出来る?」


「ああ!王道の補助魔法なら、お前にも負けんぞ!」


「あなたに勝ってるとか、負けてるとか思ったことなんて無いわ」

「烈火のダンテという、唯一無二のスペシャリストでしょ?」


「・・・落ち着いたら、飯でも食わんか?」


「いいわね、楽しそう!」


そうしているうちに、川が見えてきた。

水面が地面スレスレまで上昇していて、橋はとっくに流されたようだ。


「どうする気だ?」


「出来ることをするだけよ!強化をお願い!」

オルトリンデは目を閉じてイメージする。


ダンテが呪文詠唱をし、強化魔法をオルトリンデに付与する。


「いくわ!」

オルトリンデは目を大きく見開くと、オーケストラの指揮者のように両手を動かす。


すると、ゆっくりと川の水が轟音と共に、竜巻のように舞い上がる。


「なに!?俺は、夢でも見ているのか!?」

ダンテが声を大にして驚嘆する。


舞い上がった水が、空中で途切れて消える。


ーーー海へ・・・帰りなさい!


ダンテに理解出来る訳がなかった。

オルトリンデは川の水を海に転送していた。


とてつもない魔力がオルトリンデから放出され、オーラのようにオルトリンデを包み込んでいる。


「こんな、とてつもない、魔法使いが存在していたなんて・・・これが、英知のオルトリンデ!」

ダンテはオルトリンデから目が離せなくなっていた。


「ダンテ、魔力をちょうだい!」

オルトリンデが叫ぶ。


ーーーもう少し、もう少しで!


「わ、わかった!」

ダンテがオルトリンデの肩に手を置いて、魔力を供給する。


ーーーお前を見ていると、英雄を名乗る事が恥ずかしくなるよ、オルトリンデ・・・


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