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危険な雨

工事初日、あいにくの大雨に見舞われていた。


11英雄は、研修センターという建物で雨宿りしていた。


「工事現場が見られず、残念だな」

レオが腕組みしながら言った。


「まあ、これからこういう事は、いくらでも起きるだろうよ」

カルロはソファに寝そべった状態で言った。


「雨がやんだら、私は帰るよ」

クリムは外の様子を見ながら言った。


「私もそうする」

ダンテもクリムの隣で外の様子を見ている。


「あ〜あ、今日はデートなのにぃ〜」

テーブルについたダーリアが何気に口走った。


「俺とデートしろよ、楽しいぜ〜」

ジェイラスがダーリアの隣に座って顔を近づける。


「いやよ!」


「グハハハ!ワシはただ飯食えるなら、何日でもおるぞ!」

カレルヴァはテーブルの上に置かれたオムレツとハム、パンを食べ散らかす。


「皆、ごめんね、この雨じゃ、帰るのも大変よね、良かったらしばらく居ていいからね」

オルトリンデが皆に向かって頭を下げる。


「別にオリンのせいじゃないっしょ」

アルレットがオルトリンデの肩を叩く。


「アルレットか、久し振りだな」

レオがアルレットに話しかける。


「ああ、出来ればてめぇらの顔なんざ見たくなかったけどな」

アルレットが鋭い目線をレオとカルロに送る。


「俺の疾風と、てめぇの神速どっちが上かハッキリさせようか?」

カルロが立ち上がり、アルレットを睨みつける。


「皆やめて!アル、お願いだからケンカを売るような言い回しはしないで!」

オルトリンデが仲裁に入る。


「オリン、てめぇ、妙にアイツらの肩持つじゃねぇか、なにか?てめぇのやりたい事に巻き込めれば、あたしらの気持ちはどうでもいいってのかよ!」

アルレットがオルトリンデの胸ぐらを掴む。


「やめろ、アルレット、オルトリンデに八つ当たりするな!」

ミリアリアがアルレットの手を掴む。


「はぁ!?お前こそ、ゴミ屋敷で引きこもってゴーレム作るしか能がねぇだろうが、すっこんでろ!」

アルレットがミリアリアの一言に激昂する。


「おい、神速だか何だか知らんが、お前なんて一撃で塵に出来るんだぞ」

ミリアリアがアルレットに右の掌を向ける。


「やめてぇ!!」

オルトリンデが部屋中に響き渡るくらいの大声を上げる。

「・・・11英雄は、何をした人達なの?で、今は何をしてるの?」


「オルトリンデ・・・」

セリーンが優しくオルトリンデの手を握る。


「レオ、答えてよ、11英雄って何なのよ?歴史書に皆が載るんでしょ!?」


「すまん、でも、これが俺たちの本性なんだ」

レオはうつ向いたまま応えた。


「何よ!せっかくオルトリンデが、こんなに頑張ってるのに!意地の張り合いなら他所でやりなさいよ!」

セリーンが涙を浮かべながら叫んだ。


「このちびっ子!お前は貧民街を救えたから恩義があるかもしれねぇが、俺はただのビジネスパートナーだ!てめぇらと仲良しごっこするつもりねぇぞ!」

カルロがセリーンに激昂して言葉をぶつけた瞬間、カルロの首元に、ラッセルの剣が寸止めされた。


「次は無い」

ラッセルがカルロを睨みつける。


「ちょっと、あれ見て」

険悪なムードの中、ダーリアが外の景色を指差した。


「山が、崩れたぞ」

クリムが驚いた様子で呟いた。


「あの近くには、確か集落があったはずだ」

ダンテが補足するように言った。


「私、行ってくる、あなたたちはずっとそうやって、いがみ合ってるといいわ」

「私、11英雄を抜けるわ」

オルトリンデはそう言うと、音もなくその場から消えた。


「え?アイツ、どこに行った?」

カルロが驚きを隠せない表情をする。


「詠唱も魔法陣も無かった、何をした?」

ダンテは冷静を装っている。


「ったく、アイツは・・・仕方ない」

ミリアリアは右腕のバンドのような魔導具を口元に運んだ。

「魔導リンク開始、10式魔導装甲歩兵、来い!」


「なんだ10式?」

ジェイラスが怪訝な顔をする。


「オルトリンデといい、あなたといい、何をやってるのかさっぱりよ!」

セリーンがたまらず声を上げた。


「11英雄を1人、失ってもいいのか?しかも原因は我々だ」

レオが立ち上がり、全員を見回す。


ヒューーーン


奇妙な音が聞こえたと思った次の瞬間。

6メートルくらいのゴーレムらしき物体が、空から降りてくる。


「行くぞ、10式」

ミリアリアはゴーレムから伸びた巨大な腕に乗った。


「なんだ!?大戦中に見たゴーレムと違うぞ!」

レオが驚愕しながら言った。


ゴーレムはミリアリアを乗せると、小さな音を出して飛び去った。


「あたしも行くわ、オリンにああまで言われちゃあね」

アルレットがその場から風のように走り去った。


「よし、行くかの、アイツがおらんとつまらんしな」

カレルヴァが巨大な斧を肩に担いだ。


「相棒、俺も行くぜ、美女を怒らせたままなのは、俺の性分じゃないからな」

ジェイラスは両腕を振り回す。


「さっきの魔法について、聞かねばならんしな」

ダンテが杖を手に取る。


「11英雄として、プリーストの本分を果たそうじゃないか、なあ、ダーリア」

クリムは笑顔でダーリアに言った。


「そうねぇ、オルトリンデちゃん、だいぶ溜まってるわね、男紹介してやらないと・・・」

ダーリアは大きく伸びをする。


「あちきが、オルトリンデにもう少し器用に立ち回る方法を教えてあげないとね」

セリーンがしゃがんだラッセルの肩に乗っかる。


「アイツは嫌いじゃない」

ラッセルはセリーンをささえながら立ち上がる。


「大金のなる木をみすみす手放すわけにはいかねぇか」

カルロが準備運動をする。


「皆、行くぞ!」

レオが号令をかける。


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