回顧録を託して
オルトリンデはアルレットを厨房に連れてくると、手料理を振る舞った。
「おお!オリン、これめちゃくちゃ美味いよ!」
アルレットは笑顔で料理を口一杯にほお張った。
「お好み焼きって言うのよ」
「美味そうな匂いだな」
ミリアリアが突然、厨房に顔を出した。
「ミリーも食べる?」
「食う!」
オルトリンデはお好み焼きを作ると、ミリアリアに差し出した。
「オルトリンデ、お前、何で11英雄全員に声かけたんだ?」
ミリアリアがお好み焼きを口に入れながら訊ねた。
「ある程度、察しはついてるんでしょ?」
「なんだよ、自慢したかったからじゃねぇのかよ」
アルレットが2人の会話に口を挟む。
「神速、やっぱり走り回るしか能がないようだな」
ミリアリアがアルレットを冷ややかな目で見る。
「てめぇ、もう一回言ってみろ」
アルレットがフォークをテーブルに叩きつける。
「やめて、ミリーもアルにそんな言い方しないで」
「フン!・・・オルトリンデは、貧困を無くすための計画の第一歩に、11英雄全員を巻き込むつもりなんだ」
ミリアリアがお好み焼きを口に運ぶ。
「マジか?オリン」
アルレットがオルトリンデに詰め寄る。
「アルに工事現場の警備を頼んだのはね、新しく立ち上げた警備会社を任せたいと思ったからよ」
オルトリンデはアルレットに微笑みながら言った。
「な、なんだと、私に経営なんて・・・」
「わかってる!経営は私の会社がサポートする、そこじゃないのよアル、あなたの守る力が必要なのよ!」
オルトリンデがアルレットの言葉を遮りながら、想いを語った。
「あ、そ、そうか、まあ、あたしに出来る事なら、やるよ」
アルレットは目を丸くした表情をした。
「でね、ミリー、前に言ってた精神転送はやってみたい?」
オルトリンデは真意を測る目つきで、ミリアリアを見つめた。
「興味深いが、まだ実用されてない以上、命がけだな」
「私が術式を完成させたと言ったら?」
「・・・お前は、本当の化け物だな」
ミリアリアが呆れた表情で言った。
「おいおい!何の話してんだよ!」
アルレットが眉間にシワを寄せて怒鳴った。
「アル、ここだけの話ね」
「ああ」
「不老不死になれる方法があるって言われたら?」
「アホか!そんなこと出来るわけ・・・って出来たのか!?」
アルレットは再び目を丸くする。
「で?私にそれを試して、何をさせたいんだ?」
ミリアリアがコップの水を飲み干した。
「回顧録をあなたに託したいの、300年後に公表して欲しい」
「お前は・・・」
ミリアリアは呆れ果てていた。
「ふ、不老不死っておい!その話、どうなってんだ!」
アルレットはただただ混乱していた。
「アル、そんなに難しい事じゃないわ、ミリーが作ったボディに私がミリーの心を移すの」
「も、もうどうでもいい!お好み焼きをもう一枚!」
アルレットがオルトリンデに皿を渡す。
「はいはい」




