↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/20

着工式

貧民街の再開発計画は順調に進み、工事着手までこぎつける事ができた。

本格的に工事が始まる直前、着工式が盛大に執り行われることとなった。


「え〜、では今回、司会を務めますダーリア・ジュリーです!皆さん、盛り上がってますか〜!」

声を遠くまで響かせる魔導具を手に持って、ダーリアが会場にいる100人程の参加者に叫ぶと、大きな歓声が上がった。


「いよっ!博愛の女神!」


「ダーリア様〜!」


「ダーリア脱げー!」

ジェイラスが少し遅れて叫ぶ。


「早く食い物よこせ〜!つまらん話などやめろー!」

カレルヴァが後に続く。


「あ、あいつら放り出して!」

遠くから見ていたオルトリンデが呟く。


「駄目だよ、冷静に〜」

隣りにいたセリーンがオルトリンデをなだめる。


その後、領主カムレンや現場責任者カルロ、貧民街代表セリーンの挨拶、そしてなぜかレオの挨拶へと進行していった。


「おい!この飯めちゃくちゃうまいぞ、なんて料理だ?ダンテ!」

カレルヴァが後ろの席のダンテに小突きながら訊ねる。


「知るか!触るな!」


「愛想の無い男だ!ミリアリア!これを後5皿持ってこい!」


「なんで私が、自分で行ってこい!」

ミリアリアが眉間にシワを寄せる。


「さあ!宴もたけなわですが、いよいよお待ちかね、あの方の登場ですよ!」

ダーリアが次のプログラムの紹介に入る。

「私には劣りますが、美人でスタイルも良くて、最高にいい女!一体どんな殿方が彼女のハートを射止めるのでしょうか?もっとモテてもいいくらいなんですが」


「ダーリア、やめてよぉ!」

ステージの袖でオルトリンデが赤面しながら叫ぶ。


「そうです!天才奇才、ロザシェラが誇る最高の頭脳の持ち主、英知とはまさにこの人の為にある言葉!11英雄屈指の知識の持ち主、そう!英知のオルトリンデ・ダムロッシュの登場です、どうぞー!」


ーーーダーリア、覚えてなさいよ!

オルトリンデが苦笑いしながらステージに上がった。


「はい、ど〜ぞ〜」

ダーリアが魔導具を手渡した。


「ありがとう、ダーリア、後でちょっと話せるかしら?」

オルトリンデの目が据わっていた。


「えへへ〜ではよろしくぅ〜」


「ん、んん!え〜っと、皆様、今日はご多忙の中、この式典にご列席いただき、ありがとうございます!」

オルトリンデは満面の笑みを浮かべて挨拶をした。


「突然ではありますが、皆様に知っていただきたい事があり、この場をお借りして少しお時間を頂戴します」


会場が少しザワつく。


「大丈夫なのか?」

ミリアリアが呟く。


「この世界には、別の世界から生まれ変わった人が存在します。私はまだ会ったことはありませんが、私がその、言わば異世界からの転生者であります」


それを聞いた参加者全員が騒然とする。


「ここで言うの?」

セリーンは呆れた顔をする。


「なにが狙いだ?」

レオは意表を突かれた表情で言った。


「私のいた世界は、環境破壊が進んでいて、夏は暑すぎて出られない、冬は積雪で出られない、そして作物も育たないから食料問題も深刻で、食料の奪い合いで戦争が絶えませんでした」


「スッキリしたかったんだな」

ミリアリアは紅茶を飲みながら聞いていた。


「その世界を救おうと、学者になりました。そして、世界を救えるエネルギーの開発に成功しました」

「ですが、そのエネルギーを独占しようとする組織に、私は命を奪われました」


会場が騒然とする中、レオが大声で叫んだ。


「静かにしろぉ!」


その一言に会場が静まり返った。


「ありがとう、レオ」

オルトリンデはレオに微笑んだ。


「この世界に生まれ変わって、あの大戦から世界を守れたことを誇りに思っています。ですが、セリーンに言われました『世界を救えても、人を救えるとは限らない』と、確かにセリーンの言う通りです」


「オルトリンデ・・・」

セリーンがオルトリンデの姿を見て呟く。


「私は胡散臭い存在かもしれません。しかし、世界を救ったように、結果で示してみせます!どうか、皆様、ご協力をお願いいたします!」


オルトリンデは深々と頭を下げた。


会場に少し沈黙が流れた。


しかし、次の瞬間、割れんばかりの大歓声が会場を包んだ。


日が沈んだ後も、食事会は続いた。


「オルトリンデ」

会場から少し離れたベンチで、1人ワインを飲んでいるオルトリンデに、セリーンが話しかけた。


「やあ、セリーン、今日の料理はどうだった?私がプロデュースしたのよ」


「あんな美味い飯、食べたのは初めてよ」


「そう、良かったわ」

オルトリンデはワインをラッパ飲みした。


「じ、実はね、あちき、そのレオに頼まれてね、あなたを調べてたの、アンタの故郷にも行ってきた!」

セリーンは決然とした表情で言った。


「そんな事しなくても、聞いてくれればよかったのに、友達だと思ってたけど?」


「は、ははは、いやぁ~、アンタには敵わないわ」

セリーンはへたり込んだ。


「それで捕まるなんて嘘もついたの?」


「へ?まさか、バレてた?」


「ラッセルよ」


「そうか・・・」

セリーンはほっとした表情を浮かべた。


「おーい!オリン!」

遠くからアルレットが手を振りながら走ってくる。


「アルー!来てくれたの!?」

ワインを高く掲げると、大声で言った。


「遅くなってごめん!飯が何も残ってないよ〜」


ーーーうはぁ、アルもかぁ~!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。