英知のオルトリンデ 前編
「アンタがあちきを呼び出すなんて、珍しいこともあるもんだね」
セリーンが警戒した雰囲気でレオに訊ねる。
「オルトリンデ・ダムロッシュについて、知ってることを話して欲しい」
レオがセリーンに微笑みかける。
「どうして私に?アルレットかミリアリアでは?」
「あの2人が私に会いに来るとでも?」
「まあ、そうよね・・・」
「ラッセルも久し振りだな、大戦前に剣術大会で敗れて以来かな?」
「あれは・・・俺のセリーンへの想いをバカにしたからだ」
ラッセルがレオを睨みつける。
「まあまあ、二人とも、で、オルトリンデの何を知りたいの?」
セリーンが仲裁に入る。
「あの女のただならぬ雰囲気、お前達にはわからんか?」
「・・・わかる、いつもひょうひょうとしてるけど、たまに放つ気迫は上位の魔物なんて比べ物にならない」
「11英雄が束になっても、負ける」
ラッセルが目を閉じたまま呟く。
「私も同意見だ・・・だから私は、あえて11英雄として迎え入れて、誰の目からも監視しやすくした、だが、何もわからんのだ」
「あちきは見たよ、オルトリンデが急に姿を消すところ、どうやったか知らないけれど、突然パッと、呪文詠唱も魔法陣も無かった」
セリーンが目を見開いて熱弁する。
「私は、オルトリンデが無詠唱で魔法を使えると思っている。あのダンテですら到達出来ていない偉業を難なく」
「これはあちきの仮説なんだけれど、オルトリンデはこの世界とは別の世界から来たのかもしれない」
「たまにそういう話は聞くな、ただの噂だと思っていたが」
レオは頭を掻きむしった。
「まあ、あちきなりに調べてみるよ」
「よろしく頼む」
レオは座ったまま頭を下げた。
「あと、これは提案なんだけど」
「なんだ?」
「あちきが貴族に捕まるという噂を流して欲しい」
「なぜだ?」
「ここに来たんでしょ?」
「ああ、回顧録を作るとか言っていたな」
「なら、あちきのところにも必ず来る。その時、もしオルトリンデがあちきの為に動くとしたら、何か尻尾を出すかもしれない」
「なるほど、いいだろう」
「すぐバレるような噂じゃダメ、裏を取られてもいいようにしてね」




