異端児ミリアリア
「うわ!相変わらず汚いわねぇ!掃除くらいしなさい!」
オルトリンデがミリアリアの部屋に入るなり、挨拶も無しに怒鳴り声を上げた。
「おお、オルトリンデか」
ミリアリアは相変わらず、ぶかぶかのフードに、変わった帽子とゴーグル、ぶかぶかの革のブーツを身に着けている。
「ミリー・・・服、洗ってる?」
オルトリンデにとって地雷だらけの部屋を、何も踏まないよう慎重に進み、ミリアリアに近づく。
「さあ?いつ洗ったかな」
「一応女性なんだから、服くらい・・・うわ!何これ!?カビまみれのパンが落ちてる!ぎゃあああ!」
「うるさいなぁ!研究の邪魔するなら帰れ!」
ミリアリアは見向きもせず言い放った。
「私だって用が無かったら、こんな地雷原に来ないわよ!」
「はぁ~、仕方ない、その袋の中身に免じて、話を聞いてやるか」
ミリアリアはテーブルの上の物を、一気に払い除けると、ドカッと椅子に腰掛けた。
「中身はサンドイッチか?」
「はいはい」
オルトリンデはテーブルの上に、サンドイッチの入った袋を置いた。
「で?何の用だ?」
ミリアリアは、袋からサンドイッチを取り出すと、かじりついた。
「要件はいくつかあるんだけど、まず、11英雄の回顧録を作ろうと思ってね」
「わたしには関係ないだろう」
「12番目候補だったじゃない、ゴーレム使って貴族の家を壊すまでは・・・」
オルトリンデはお茶を淹れる道具を探す。
「クソ貴族に従うくらいなら、英雄になんてならんでいい」
「そういえば、大戦で使ったゴーレムは、もう作ってないの?」
「8式機動魔装歩兵は、もう型遅れだ、最新の10式魔導装甲歩兵ならプロトタイプが・・・」
「ゴーレムで良くない?」
オルトリンデがミリアリアの話に割って入る。
「魔導空母なら、そのまま残ってるぞ、メンテしてないが」
「魔物軍に勝つために、2人で色々作ったわね〜、私は動力源を担当しただけだけど」
「それがなければ、8式も空母も出来てない」
「ありがとう!」
「事実を言ったまでだ」
ミリアリアはサンドイッチを口に詰め込む。
「実は、また力を貸して欲しいのよ」
やっと見つけたポットに、オルトリンデが魔法で水を注ぐ。
「完全無詠唱、12の魔法を同時展開、空間魔法を編み出した天才オルトリンデが、わたしに頼みごとをする時は、ヤバい案件確定だな」
「遊園地って言ってね、娯楽施設なんだけど、それを作ろうと思うの、あなたの化け物じみたゴーレム技術が必要なのよ」
「遊園地?なんだそれは?前にいた世界にあったものか?」
「そう!絶対この世界でもウケるわ!これが出来たら、アンタの嫌いな貴族もギャフンと言わせられるよ!」
「う〜ん、まあ、面白そうではあるな・・・」
「でしょ!?あとね、高層の建物も必要なのよ」
「ふむ、まずは基礎だな、普通の金属では駄目だな、耐食性と圧縮強度の高い素材が必要だな、高層となると鉄骨造にした方が・・・」
「おーい、ミリー、とりあえず協力してくれるって事でいいんだよね?」
「仕方ない、やってやる・・・ただし条件がある」
「なに?何でも言ってみぃ!」
「一度、前の世界の食べ物、再現したろ?」
「ああ!ハンバーガー?」
「それを食わせろ!」
「交渉成立ね!」




