説得
「ようこそお越しくださいました。オルトリンデ・ダムロッシュ様、本日はどのようなご用向きですかな?」
領主貴族のカムレンとオルトリンデが、応接室で面会していた。
「こちらこそ、お時間いただき、ありがとうございます」
「早速ですが、カムレン様の領地の一部をお借りしたいのですが」
「ほう、どの土地を?」
「貧民街です」
「は、はあ?貧民街で何をされるつもりですか?」
カムレンは訝しげな顔をした。
「リゾート地を作ります、もちろん、貧民街の住人はそこで優先的に雇用し、住人達の住む場所もこちらで用意します、カムレン様にご負担はかけません」
オルトリンデは計画書を差し出した。
「ちょ、ちょっと待って下さい、そんなこと、簡単には・・・」
カムレンは動揺を隠せない表情をした。
「読んでいただければわかりますが、そこでの収益の数パーセントはカムレン様に借地代に上乗せしてお支払いします」
「予定工期はどれくらいですかな?」
「恐らく2年もかからないかと」
「な、なんと!?そんなに早く!?さすがポルダン屈指の企業、アップル商会ですね」
「その、急なお話ですので、少し精査させていただきたい」
「それは構いませんわ」
「では・・・」
「今日はもう一つ、お話がありまして」
「はい?」
「セリーン・フィネルの件です」
「ほう・・・」
カムレンが険しい表情をする。
「あ、リゾート地の件で、言い忘れてたことがありますわ」
「こちらの再開発事業が成功すれば、これをテストケースとして、他の領地へ拡大出来ます。そうなれば、カムレン様の権威も高まるかと」
「ふむ・・・」
カムレンは顎に手を当てて考えた。
「また来ます。良いお返事、期待してますわ」




