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変化の影

 夏。

 久しぶりにLe.reposへ行った。

 そこで初めて、かなたの両親とゆっくり話した。

 母親の美紀さん。

 父親の隆哉さん。

 美紀さんは、会ってすぐに私のことを「栞ちゃん」と呼んだ。

 よく笑って、思ったことをそのまま口にするような人だった。

 長政さんと綾乃さんの息子である隆哉さんは、とにかく話が上手だった。

 こちらが困らないように自然と話題を振ってくれて、気づけば初対面の緊張もなくなっていた。

 二人とも、彼が福岡へ来てから少しずつ変わったことを嬉しそうに話した。


「昔は本当にテニスのことばっかりだったの」


 美紀さんが笑う。


「そうそう。何を聞いても、最後はテニスの話になってたよな」


 隆哉さんも笑った。


「最近は、学校の話もするようになって」


「友達の話も増えたしね」


「……」


「栞ちゃんの話も、よく出るのよ」


「え!?」


「うん。よく出る」


「えっと……あの、はい……」


 顔が熱くなる。

 けれど。

 隆哉さんが、少しだけ表情を曇らせた。


「最近、たまに気になることがあってね」


「え……?」


「医者からは、大きな問題はないって言われてるんだけど……調子が悪そうな時があるんだ」


 私は思い出した。

 初めて会った日。

 小永吉先輩との試合のあと。

 最近も、ほんの一瞬だけ、同じような様子を見せることがあった。


「かなたは、大丈夫って言うんだけどね」


「……」


 胸の奥がざわついた。

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