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ミシリ、と砕けた未来

〈……お父さん〉

 病院へ運ばれた私は、一回目の手術の後、ベッドの上で朦朧と目を覚ます。

〈なんも心配いらん……〉

 そう言う父の顔が蒼白だったことは、今でも覚えている。

〈私……〉

 朦朧のままがいいと思った。はっきりとしていく意識が怖かった。一縷の望みを託して視線を下げてみたけれど、そこにあったのは、包帯で幾重にも捲かれた白い荷物のような私の右脚だった。

〈なん、これ……〉

 嘲笑するような(分かるやろ?)という声が、自分の中から聞こえたような気がした。前十字靭帯の大きな損傷と、腓骨および脛骨の開放骨折。幸い感染症に罹ることはなく復帰も可能だと告げられたけれど、そのためにはリハビリに時間が必要だと先生から言い渡された。

(終わった)

 この大事な時期にコートに立てない。それは、ライバル達との競争から脱落したことを意味している。私の中で、築き上げてきた何かが壊れた瞬間だった。そして、大きな傷痕が残ると言われたことが、決定的にとどめを刺した。

 私は、テニスは二度としないと、荒波に攫われるように決めていた。

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