前へ目次 次へ PR 13/34 真上の君 「――ところで、どこまで付いてくるん?」 マンションまで辿り着いても、彼は後ろにいた。 「え? だって、ここ僕の家だし」 「……は?」 エレベーターの中で話しているうちに、彼の部屋は私の真上だと分かった。 「じゃあ、また明日」 「……うん」 まだ泣いたあとの顔をまともに見られたくなくて、私は俯いたまま鼻に掛かった声で返した。 エレベーターの扉が閉まる。 (なんなん、この人……) でも。 少しだけ。 本当に少しだけ。 さっきより、胸の中の重たいものが軽くなっていた。